□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第415回配信分2012年04月09日発行 同志社大学大学院ビジネス研究科講義始まる 〜学ぶ姿勢をいつまでも持ち続けること〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●今回で3年目になるが、同志社大学大学院ビジネス研究科の新学期が先週か ら始まった。成岡が講義を受け持って3年目である。今年の受講生は最終確定 していないが20名弱。昨年度は25名前後の大人数で、講義の教室も広い階段教 室だった。今年は人数が多少減ったから、少し小さめの教室に変更になった。 90分1コマの授業を2コマ。15分の休憩をはさんで3時間の講義をやるとなる と、準備も体調も万全にしておかないといけない。それと代わってもらえる人 がいないから穴を開けるわけにはいかない。 ●例年そうだが受講生は全員が社会人。しかも中国からの留学生の方もいらっ しゃる。昨年度は3名の留学生の方が受講されたが、今年は1名だった。年齢 もまちまち。性別もばらばら。もちろん社会人としての経験も本当に千差万別 だ。大企業に勤務の方もあれば、成岡が経験したように奥さんの実家のビジネ スを継いでいる方もある。一定の社会人経験を経て、独立してコンサルタント をされている人もいる。そういう様々な社会人に講義をするのは、少々難し い。普通の大学なら全員同じ学年だから簡単なのだ。 ●しかし、それを気にするとなかなか難しいから、あまり気にしないようにし ている。受講生の目的は、新しい知識をいっぱい吸収して少しでも自分のもの として、それを実際の業務やビジネスに活かすこと。そして、少しでも何らか の結果を残すこと。これにつきるだろう。そのためには、当方も今まで経験し てきたことの中から出来る限り、参考になる経験や事例を多く伝えることが必 要だ。成岡の経験からすれば、学問的なことより実際の現場での経験のほうが はるかに役立つ。しかし、理屈を知っていることも大事だ。 <いつまでもどこからでも学ぶ姿勢を保ち続ける> ●この大学院の講義や授業は他の講義もたくさんあり、受講生は2年間(場合 によっては3年間)で多くの科目を履修する。そして日本版MBAだから最後に 難関の修士論文が待ち受ける。この執筆に相当数の時間とエネルギーを費や す。また、毎週の授業、講義では山ほどの課題が出される。宿題もある。次週 までに検討した結果をまとめてレポートする、グループ討議をする、発表のプ レゼン資料を作成する。これを短期間で、しかも複数の人数でやるとなると、 相当な時間を割かないとできない。 ●しかも相当に高額の授業料を払っている。時間は取られる、費用はかかる、 エネルギーも要る。本当に土曜日、日曜日の休日をかなりつぶしてこの授業の 成果を得ようとする。この姿勢は本当に素晴らしい。また、そういう意気込み がないと続かない。途中で投げ出したくもなるだろう。特に、社会人だから現 業の仕事を持っている。それとの時間調整も大変だ。個人の資格で来ている方 がほとんどだから、それが社業に影響すると問題になる。ひたすら日常は普通 に仕事をして、それからとりかかる。覚悟がないとできない。 ●続くのは強い意志があるからだろう。高いモティベーションがあるからだろ う。そのベースには学ぶ姿勢があるからだ。何とかして現状を打破する、新し い知識を吸収してそれを活かして結果を出したい。そんな気持ちを持ち続ける のは、容易なことではない。我々のように実際が経営者でビジネスを営んでい るならともかく、通常の企業に勤務している者がそんな困難な状況に立ち向か うには、相当な覚悟が要る。単に費用を多く投じたから、外部から言われたか らということでは、続かない。 <学んだことを実践する勇気> ●学ぶことは真似ることだと、よく言われる。まずは、新しいことを学習す る。初めてのことが多いはずだ。既に知っていることもあるだろうが、また違 う年齢、違う時代に教わると以前と吸収するものが異なる。同じ書籍を読んで も、以前読んだときとは異なる吸収がある。新しいことを学習しただけでは結 果は出ない。それを活用する。行動を変える。方法を変える。トライしてみる ことが大切だ。学んだ通りの結果が出ることは、まずない。非常に少ない。想 定外のことも起こる。しかし、そこからまた学ぶことも多い。 ●まず最初の一歩は学習から。学習したことを次に少しでも実践する日常の行 動習性をつくることだ。講義の資料を引き出しにしまっておいては、結局何の 役にも立たない。内容を全部実行することは難しいだろうが、翌日から日常の 生活の中に少しでも活かすことだ。新聞の読み方、会議の方法、資料の作り 方、会議での発言、営業の方法、顧客との接し方、役員会での運営、・・・。 などなど日常に活かす場面は、実はいろいろと転がっているはずだ。今まで、 それに気が付かなかった。 ●業績の芳しくない企業は、おおむねこの新しいことを学習しようという意欲 が欠けている。それは、いつに経営者トップの意欲がそこにないからだ。従来 の方法、方式、やりかた、行動がそのまま今期も来期も続く。何らか、変化を 求めない。それは、この大学院での講義のように新しいことを吸収しようとい う意欲がない。組織は常に内部から、外部からいい意味での摩擦葛藤揺らぎを 与えないといけない。それは経営者の役目だ。それをするには経営者自身が学 ぶ気持ちを持ち続けないといけない。 <新しい環境に踏み出す> ●企業は常に変化、変革を求め続けないといけない。これでいいんんだと思っ た瞬間から退歩が始まる。他社は少しでも前に進んでいるから、退歩が始まる と、その差は歴然と大きくなる。変化、変革を内部から起こすのは非常に難し い。企業業績が素晴らしい企業は、この仕組みが出来ている。しかし、残念な がら中小企業はそうはいかない。この大学院の授業のように外部から強烈な刺 激、外圧を与えられて初めてことは動く。日本の政治経済も同じだ。自浄作用 より外からのプレッシャーの方が効果的だ。 ●一歩踏み出すには勇気が要る。この勇気が年齢を経ると、なかなか出てこな くなる。そう感じたときは、次世代に席を譲ることだ。自分が一歩前に出ない ことが、企業の退歩を招くなら一歩前に出る人がリーダーシップを取らないと いけない。そういう意味で受講生の中に、経営者自身の方もあれば、自分で独 立開業したが、いま一度見つめなおしたという謙虚な方も多くいらっしゃる。 この自分自身をリセットし、改善改革につなげようとする、その勇気は素晴ら しい。すぐには結果がでなくても、必ず近い将来結果に結びつく。 ●そのためには、いつもそのような問題意識を持ち続けることだ。企業経営 は、現状に満足した途端にバックする。バックにギアが入り、後ろに下がりだ す。危険なことは、後ろに下がりだしたことを自分自身が分からないことだ。 業績がいいと当面の資金繰りや営業成績は維持できる。それに安心してしま う。自分自身から現状のリセットをする勇気はなかなか持てない。しかし、こ の大学院のように切磋琢磨する環境に身を置くと、自然とそれができるはず だ。新しい環境に踏み出すことだ。