□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第418回配信分2012年04月30日発行 連休中は一人になり異なる環境を作る 〜企業の成長は経営者自身の成長と同じ〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●連休はどう過ごすかは難しい課題だが、連休だから休んでいることはない。 ビジネスは常に動いているから、連休でないとできないことをする。連休中は ほとんど来客もないし、電話もあまりかからない。静かに一人で考える時間が 作れる絶好の機会だ。これを漫然と過ごすのはもったいない。経営者である限 り、24時間365日常にテンションを高くすれば、日頃見えないものも見えてく る。通常は10分間くらい自分の時間を作るのも難しいが、連休中は意外と忙中 閑ありということもある。 ●電話もあまりかからない。得意先はお休み。仕入先もほとんど休んでいる。 サービス業の方はかえって忙しいが、製造業系の方は連休中は向上や現場の稼 動を止めている。従業員も出勤してくる人はほとんどない。長期でお休みを 取って、何か目的のある休日を過ごすのは、それはそれで意味があるが、通常 の連休は経営者の方は、静かにゆっくりものを考える時間が持てるいい機会な のだ。1年間でこれくらいまとまって時間が持てるのは、5月の連休とお盆と 正月くらいしかない。 ●特に明確な予定があれば別だが、最低1日間は一人で会社のことを考える時 間を持つことが大事だ。人事のこと、資金のこと、設備投資のこと、新製品開 発のこと、組織のこと、・・・。考えればきりがないくらい、企業経営には多 くの課題がある。いや、課題があることが本当だ。課題や問題点がない企業や 組織など、逆に珍しい。ないというより、気が付いていないなら、それは別の 問題だ。課題が顕在化し、さて、どうするかという方針が決まらない案件が多 い。決まれば、やることは分かるのだが。 <いつもと同じ環境では決断は生まれない> ●会社の会議でいい知恵やアイデアは、なかなか生まれない。いつもと同じメ ンバー、同じ環境、同じ会議の運営方法では、なかなかブレークスルーはな い。従来と違うことをするには、従来と違う環境が必要だ。違うメンバー、違 う場所、違うやりかた、違う意思決定の方式など、通常と違う環境が必要だ。 すごい会社ではそんなことは必要ないが、普通の中小企業では、そうはいかな い。何か変化を求めるなら、あえて変化を起こすことが必要だ。日常から脱し た環境を設定する。 ●会議室で議論することも必要だが、大事な意思決定は一人で行う。そこに至 るまで、十分衆知を集めて、決めるときは孤独で一人で決める。最後の責任 は、経営者は自分自身で取らないといけないから、最後の意思決定は自分ひと りで行う。経営者とは孤独なものだ。それが勤まらないと経営者にはなれな い。最後の結論を出すには、相当時間がかかってもいいが、決めるときには決 めないといけない。結論を先延ばしするのは、最悪だ。決めない罪は、決めて 失敗するより罪深い。 ●材料は多く集めたほうがいい。衆知も多く集めたほうがいい。しかし、決め るのは多数決ではない。民主主義で企業は運営できない。経営者は、だいたい 多数が反対する決定を下さないといけないことも多い。大多数が反対すること をやらないといけない。成岡の感覚では、3割賛成7割反対がちょうどいいく らいだ。みんなが賛成する結論は、実は内容的に違うことが多い。全員が賛成 する結論など有り得ない。そう心得ておいたほうがいい。そういう結論を決め るのは、一人でないと決められない。 <ギアを変えるキーを決める> ●ここからは、決めるフェーズに入るには、自分でキーを決めてギアを変えな いといけない。こういう儀式をすれば、最後の結論を決めるのだという決まっ た環境を決めておく。決まった手順を決めておく。ノートでもいい。筆記用具 でもいい。場所でもいい。この場所に行くときは、逃げないで決めるのだとい う自分自身の決め事を設定することだ。そういうルール化をしないと、経営者 は孤独だからどうしても安易な方向に逃げてしまう。自分自身を逃げないよう にする環境を作る。 ●多少費用がかかっても、それは投資だから構わない。莫大な費用なら問題だ が、そんなことは有り得ない。会社や自宅の環境があまり芳しくないなら、市 内のホテルに昼間ビジネスプランを利用するのもいい。あるいは、会社の環境 から抜け出す日程を決めておく。木曜日の午後はこういう風に過ごすという決 め事でもいい。図書館の利用もお奨めだ。意外と日中は利用価値が高い。書店 の近くのカフェでもいい。交通機関で移動する時間でもいい。朝の早い時間の オフィスなども最適だ。 ●連休などは特にいい。とにかく、日中の騒動から離れて、一人になって真剣 に考える環境を作る。平時の日中ではなかなかできない時間と空間を手に入れ る。そうでもしないと、次々と難題が降りかかり、いろいろと用事をこなし て、それが真剣に仕事をしたことと勘違いになる。それは用事をしているだけ で、経営をしていることにはならない。勘違いしている。そういう経営者の方 は多い。自分が忙しい、仕事をしていると勘違いしている。そういう日常を継 続していると、企業は成長しない。 <企業の成長は経営者自身の革新> ●どこまで行っても、企業の成長は経営者の自己革新によるところが大きい。 自己革新というとたいそうだが、要するに心の持ちようひとつだ。過去をリ セットして、未来に向ける目を養う。経営者として自立できる環境を整備す る。そんなことは誰もしてくれない。二代目が約束されている後継者の方も、 今の父親の社長はそこまでは出来ないし、してくれない。それは自分自身で習 得、獲得するしかない。それも、限りなく失敗して、反省して、そこから何か をつかむしかない。それの繰り返しだ。 ●妥協してはいけない。つい、簡単な、甘い方向に流れがちになる。まあ、こ れくらいでいいかと思った瞬間から、成長は止まると心したほうがいい。それ くらい経営者の成長と、企業の成長とはイコールなのだ。経営者が20%成長で きないのに、企業がその20%を超えて成長することは、現代では有り得ない。 高度成長の過去のいい時代では、そういうことはあっただろう。世の中が勝手 に成長したから、ついていけば良かった。それに慣れている経営者の方は、自 己革新をしないといけない。 ●この自己革新のマインドが持てなくなったら、経営者を降りたほうがいい。 それは企業の成長が止まり、みんなの不幸につながる。かなり行ってから気が 付いても遅いから、早めにギアチェンジするか、ギアチェンジできる別の人に 任せたほうがいい。古来、成長してきた企業では、トップの成長と軌道を同じ くしてきた。衆知を集め、一人になって決断する。責任はすべて肩に背負う。 そういう覚悟がないと、現代での企業の成長は望めない。それを楽しいと思っ てチャレンジすることだ。