□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第444回配信分2012年10月29日発行 第二のリーマンショックに備える 〜年末にかけて危機の再来があるかも〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●心配し過ぎかもしれないが、年末から来年にかけて、世界的にまた不景気と いうか、第二のリーマンショックが起こりそうな気配を感じている。杞憂に終 わればいいが、これが現実のことになると大変だ。4年前に起こったあの恐慌 から、何とか立ち直りかけた世界経済が、また暗闇に突入するかもしれない。 いま、そうなると影響は本当に深刻なことになる。程度は別にして、またぞろ 暗いトンネルに入るかと思うと、非常に先行きが暗い印象はぬぐえない。杞憂 に終わればいいが。 ●まず、理由の第一は政治情勢の不安定。日本はもちろんのこと、アメリカ、 中国など主要な国での選挙や後継者へのバトンタッチで、ぎくしゃくが起こる 可能性が高い。特に米国での大統領選挙で、情勢が拮抗し、なんとも中途半端 な結果が出る。中国の次世代へのバトンタッチで勢力争いに終始し、政情が不 安定になる。中東での戦争の兆候がそのまま継続し、どうも解決の糸口が見え ない。そして最大のリスクのヨーロッパの経済危機。スペイン始め各国の金融 危機が顕在化する。 ●東アジアのインドネシア、ベトナムなどは、その影響を受けないで、何とか 成長軌道を保ってはいるが、その他の諸国の経済が大きく後退、停滞し、 ちょっとやそっとではリカバーできない。特に中国経済が、土地バブルがはじ けて、非常に大きな落ち込みが起こる。日本とは、尖閣諸島の問題がずっとこ じれたままで、回復の兆しがない。双方が意地の張り合いになり、ひっこみが つかない。振り上げた拳の落としどころが分からない。分からないからずっと 挙げたままになる。 <混乱は続く> ●日本の政情も、他国を笑っている場合ではない。経済の不得手な閣僚が続 き、完全に迷走している。年末に選挙があり、どの政党も過半数を取れない。 第三の勢力もばらばらで、改革の理念は叫べども、数の力にはなりえない。 おっつけ、連合艦隊方式になり、リーダーが明確でない。案件ごとの野合集団 の様相で、かえって諸外国からの標的にされる。国内がもたついている時間帯 に、どっと攻め込まれる。それを跳ね返すだけのエネルギーが残らない。 ●中国との尖閣問題、韓国との竹島問題、ロシアとの千島列島問題。領土問題 は国際社会の場においても、非常にデリケートな問題だ。たいてい、こじれる と話し合いから武力衝突になる危険性が大きい。戦争状態に近づくことは、少 し前ならおカネ廻りがよくなることだった。最近はそうはいかない。特に中東 での戦争は、昭和48年のオイルショックの再来となる。あのような暗い時代に は戻りたくない。なにせ、TV放送は23時で切られ、ガソリンスタンドも石油備 蓄が底をつくので、休日休業に追い込まれた。 ●原子力発電所の取扱いがもめて、どこも責任を取ろうとしない情勢が続く。 40年間信じてやってきたのに、昨年の大震災での被害があまりに大きかったの で、突然の方針変更、転換になった。一度決まったことは実行に移されるのだ が、どうも政治的な混乱が続き、迷走して戻らない。冬場の電力のピークへの 対応も、各社まちまちになり、何とかしのいだものの、今後に大きな課題を残 した。いまだに原子力発電所の再開に関して、責任の所在が明確ではない。こ のまま続きそうだ。 <日常のチェックを怠らない> ●政治の混乱で地方交付税の配分ができなままになっている。このままでは、 地方は金融機関から借金をしないといけない。借金には当然利子がつく。その 利子は誰が払うのか。国会議員は従来どおり給料をもらっている。おかしいと 思いながら修正できないのは、中小企業の経営体制と同じか。補正予算を組ん だが、効果はいかほどか。円高などの六重苦は全く解消されない。中小企業の 経営者はそれこそ必死で企業の存続に命がけでやっている。どうもそういう気 迫が感じられない。 ●そうこうしているうちに、何かがトリガーになり経済の混乱が起こるか。特 に来年3月末の円滑化法の期限切れに対する駆け込みの改善策は、実は実現可 能性が高くないものが多くないか。夏休みの宿題を駆け込みで格好をつけて も、所詮お化粧を施しただけでは抜本的な解決にならない。金融機関の救済は できても、企業の救済はできない。そんなジレンマな状況が膠着状態として続 く。そのうちに、どこかの穴から水が漏れ出すと止まらない。いつかはどっと 溢れ出す。 ●金融機関が破綻しないように政府は何とか救済の策を講じるだろう。しか し、内部に膿を抱えている身体はそう簡単に健康体にはならない。生活習慣病 を治すには時間がかかる。禁煙、節制、運動不足の解消、食事、睡眠、ストレ スなど、やらないといけないことは山積しているが、何から手をつけていいの か分からない。かかりつけの医者である税理士さんの日常のチェックができて いないと、病気の寸前になって、慌てて対策を考えるが、時既に遅しというこ とが多い。 <危機感を持ち続ける> ●海外の情勢から第二のリーマンショックが起こらないとも限らない。心配し すぎかもしれないが、備えあれば憂いなし。4年前のリーマンショックの際に は、多くの中小企業が大きく痛んだ。売上を半分くらいに落とさざるを得な かった企業も多かった。相当立ち直っただろうが、古傷はまだうずいている企 業も多い。しかし、落ちたことは落ちたが2割くらいの減少で留まった企業も ある。そして半年で見事に回復している。どうしてそういうことが出来たのだ ろうか。 ●それは日頃から備えていることだ。何も、突然明日パニックが起こることに 備える必要はない。日常を粛々と毎日日々これ改善の塊という意識で、毎日毎 日を磨きながら、少しでもいいから昨日より今日、今日より明日が進歩、進化 している実感がある企業なら、少々のことがあってもぐらつかない。そういう 企業体質になるように日々備えておかないと、津波がどっと押し寄せてから慌 てる。それから、さあどこに避難するのだっけと言っていては遅い。 ●日頃から避難場所を確認し、ルートを確認する。緊急連絡網を点検し、改訂 することを怠らない。非常用の水と食料の更新を忘れない。最悪のことを考 え、3日間は暮らせる備えをしておく。いわば、当たり前のことを日常きちん とすることが、緊急時の備えになる。業績が悪化してから慌てていては遅い。 悔やむより、過去を反省して、どこに課題があるのか。課題が分かれば対策も 講じられる。常に点検、常に改善。その気持ちを経営トップがどれくらい持ち 続けられるかだ。