□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第451回配信分2012年12月17日発行 初めて利用した「カーシェアリング」にびっくり 〜なかなかよく出来た新しいビジネスモデル〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●以前から一度使おう、使おうと思っていて、なかなかチャンスがなかった 「カーシェリング」なるシステムを、先日ようやく使うチャンスがあった。初 めてなので、うまく行くかどうか心配だったが、それは杞憂に終わった。完成 された、素晴らしいシステムであることがわかった。非常に便利に出来てい て、利用者からみた工夫が随所に感じられた。これなら、利用頻度がもっと上 がるとの予感がする。それくらい完成度の高いシステムだ。感心すること、し きりだった。 ●まず、予約。弊社のオフィスのある京都市のど真ん中の烏丸四条付近には、 多くのそのシステムが使えるコインパークがあり、一箇所に数台の「カーシェ ア」用のレンタカーが置いてある。少ない場所はもちろん一台だが、利用頻度 の多い場所では数台が利用できる。車種もいろいろとあり、利用目的により選 択が可能である。予約は当然ネット経由で行う。一番近い便利なコインパーク を選択し、数台の予約状況をチェックする。そして、利用の日時、時間帯、時 間数、車種を予約する。 ●当然、予約すればメールで確認の返信が来る。利用時間は24時間で、最小単 位は15分。利用単価は15分@200円という値段だ。1時間800円で済む。しか も、驚きのガソリン代と保険代が込みなのだ。つまり、ガソリン代込みで15分 @200円。これは非常に値打ちに感じる。通所のレンタカーの場合、一番安い 車種でも4時間で4,000円以上する。しかも、当然ガソリン代は別の費用とな る。それが、ガソリン代込みで200円/15分という価格破壊コストの設定だ。 <完璧な行動把握システム> ●このビジネスモデルは、コインパーク会社とレンタカー会社とのコラボで実 現した。駐車場を利用して欲しい企業と、レンタカーを利用して欲しい企業と の相思相愛の企画がきれいにドッキングしたケースだ。コインパークも24時間 365日稼動しているが、利用率が問題だろう。レンタカーも当然繁閑が激し い。休みや連休になれば車は不足する。しかし、平日はそうでもないだろう。 まして、レンタカーの会社は往々にして場所が駅に近い。ビジネス街には多く ない。 ●このビジネスモデルは、その相互の欠点を補い、長所をドッキングすること で実現した。駐車してある車のリアガラスの特定の場所に、登録してあるカー ドをかざすと、自動的にドアのロックが解除される。やおら、運転席に座ると 自動音声案内がガイダンスを流してくれる。コンソールボックスのキーを取り 出し、あとは普通に運転するだけだ。ちなみに、予約時刻の10分前からは無料 の利用タイムとなっている。車があれば10分間は無料なのだ。 ●そして予約の時間までに所定の位置に車を返却する。車を返却して、コン ソールボックスにキーを戻して、車から降りて最初と同じようにリアのウィン ドにカードをかざすと自動的にドアがロックされる。忘れ物をしないようにし ないといけないが、それ以外は通常のレンタカーを返却するのと同じだ。ご丁 寧に10秒後に登録した携帯電話のアドレスに「ご利用サンキュー」メールが到 着する。そして、利用データの確認がなされる。なにやら行動が完璧に監視さ れているようで、薄気味悪い。 <新車が売れない理由が納得> ●実は、携帯のアドレスにはいろいろな関連のメールが来る。10分前になると 利用確認のメールが届く。以前に予約をしていると、時間が経過している場合 は忘れていることが多い。それを防止するために、少し前の時間帯に確認の メールが流れる。以前には、数日前に予約してた場合、忘れることが多かった のだろう。おそらく、いろいろと試行錯誤のテストを重ねて、現在のシステム に至ったのだろう。とんでもない想定外のトラブルも、あったに違いない。 ●素人考えでも、いろいろとトラブルは目に浮かぶ。一番多いのは、決められ た時間内に帰れないと言うケース。18時までに返却と約束していても、道路の 混雑、不意の天候の急変、出先の用事が長引いた、など言い訳のオンパレード だ。もし、予約の時刻までに返却が難しい場合は、すぐに連絡が欲しいと書い てある。そして、近くの駐車場に停めてある車を案内するシステムになってい る。それでリスクを完全に回避できるかどうかは分からないが、少なくても代 替車の利用は促進できる。 ●ガソリンは運転席の上のサンバイザーのところにガソリン給油のカードが挿 入してあった。今回は使わなかったが、半分くらいに減ったら給油することに なるのだろう。ガソリンスタンドも減ったが、おそらくこのカードでかなりに スタンドで給油できるのだろう。これも事前のマーケティングで出てきた問題 点をクリアーするなかでの知恵だろう。その他想定できる山ほどの課題、問題 点を克服し、最近一気にこのサービスが拡がった。あまり拡がると新車の販売 にも影響が出るだろう。 <危機がビジネスチャンス> ●レンタカー会社も知恵を絞っている。値段が従来のレンタカー会社の半分く らいの企業も出現した。簡単なことで、使用の車が中古車なのだ。最近の自動 車製造技術なら、中古車でも十分だ。昔は、メーターが一周=10万キロ走る と、いろいろな部品ががたがたになった。プルペラシャフトにクラックが入っ たり、マフラーが割れたり、ディストリビュータが故障したり、ラジエターに 穴が開いたり。最近は、車にあまり乗らないが、こういう故障はほとんど聞か ない。それより電子部品の故障が多い。 ●国内での新車の販売が進まない。エコカー減税も終わり、国内消費にかげり が見える。軽自動車はまだ好調かもしれないが、早晩人口減少が明確になって くるのだから、当然新車の販売台数は減少するに決まっている。そして、新し いビジネスモデルの「カーシェアリング」。危機を迎えるときには、価格破壊 や新しいビジネスが忽然と現れる。危機が新しいビジネスを生むというのは、 過去の昔からずっと真理として続いてきたセオリーだ。ここにチャンスを見出 せるか、どうか。 ●じっと静観していてはいけない。何らかの行動を起こさないといけない。テ ストをしてみて、いろいろな問題点を探り出す。少しやってみるといろいろな ことが判明する。多少コストはかかるが、未来に対する投資なのだ。まず、人 材を確保し、ビジョンを明確にし、タイムスケジュールを定め、やらないこ と、やることをはっきりする。それでも、初めはうまくいかない。しかし、そ れで立ち止まるわけにはいかない。新しいビジネスモデルは、苦心惨憺の結果 から生まれてくる。そう、心得ることが大事だ。