□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第458回配信分2013年02月04日発行 社長が少しでも変わると会社は大きく変化する 〜まずはその一歩を踏み出すこと〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●仕事柄、いろいろな企業の経営者の方、役員の方などと面談する機会が多 い。いつも感じることだが、中小企業の場合は会社の成長は、いつに代表者の 考え方ひとつで大きく変わる。今まで何となく経営をされてきて、何となく成 長もしてきたのだろうが、昨今の厳しい経営環境では、その何となくがもはや ほとんど通用しない。通用しないくらいならまだいいが、どんどん時代から取 り残されて行ってしまう。あれよあれよという間に、世の中は変わり、経営環 境も激変する。 ●しかし、会社の、企業の大きな舵はなかなか切れない。特に従業員、社員の 方々が多く在籍する企業、設備や装置を大掛かりに抱えている企業、借入金が いっぱいある企業などは、そう簡単に会社を変えると言っても、ことはそう簡 単ではない。その非常に厳しい状態、重たい資産と負債、毎月毎月の資金繰り に奔走、翻弄されて、時間はあっという間に経過する。特に、何をミスした、 悪いことをした、というのではないのに、気が付けばジリ貧になり、おカネで あっぷあっぷする。 ●一時期、うまく回っていた企業も、昨今ではそれが長く続かない。しばらく 好調と思っても、過去にはそれが2年や3年は継続した。その間に次の対策も 考えられたし、手も打てた。しかし、最近はスピードが滅茶苦茶速い。アップ ルが好調と思っていたら、もう陰りが見えると言う。中国が何とかメシの種と 思っていたら、チャイナリスクが増大しているという。ロシアもブラジルも何 となく不安定だ。そんな中で、きちんとした指針が立てられて、経営ビジョン が明確になるのだろうか? <変わることにはためらいが伴う> ●経営者なら誰でも不安になる。この世の中で暢気に脳天気で過ごせている経 営者の方がいらっしゃったらお目にかかりたい。みんな必死で何とかしよう、 何とかしようと思っている、はずだ。ところが、どうも我々外部から見ている と、以前と同じように朝起きて、同じように会社に来て、同じような会話を行 い、同じように経営されている経営者の方が、失礼ながら意外に多い。ご自分 では気が付いていないのだろうが、外部から見ると非常によく分かる。 ●そこで、我々はお役目ながら、社長の考え方を変えてもらうようにお願いす る、仕向ける、圧力をかける。しかし、ことはそう簡単ではない。当方から進 言して、すぐにできるようなら、既に着手し、何らかのアクションを起こして いるはずだ。それが、そうはなっていない。時間がかかることもある。決断に は大変な血を流すことも辞さないことにも向かい合わないといけない。どうし ても足が向かない。気乗りがしない。やる気が起こらない。決断ができない。 実際は、そうなのだ。 ●簡単にできるなら、とっくにやっている。どうやればいいか分からない場合 もあるし、方法が見えない場合もある。方法は見えているが、障害が山ほどあ り、富士山より高い場合もある。世間の目を気にする経営者の方も多い。形の あるものを処分すると、対外的には非常に目立つ。だから、やりたくない。格 好が悪い。いやな噂のひとつも立つかもしれない。風評でよくない推測の情報 が流されることも危惧される。そんな中で、決断しろと言っても難しい。非常 によく分かる。 <目に見える形で変えること> ●しかし、経営者が、役員が、考え方を変えて、決断し、会社をこういう方向 に変えるんだと意思決定しないと、ことは何も進まない。従業員や社員がそう いうことを決定、決断するということは、有り得ないことではないが、非常に 珍しい。やはり、経営者が、なかんずくトップが、社長がことを決めないと、 変わらないと何も進まない。周囲が気を揉んでも仕方ない。しかし、不退転の 決意で、後戻りすることなく、前に一歩でも進もうとすれば、周囲はそのこと を敏感に感じ取る。 ●とにかく、形で示さないといけない。周囲の人間に社長が変わったというこ とを、内外に明確に示さないといけない。単に、スローガンを宣言しただけで は、またいつもの狼少年になる。結局、いつも同じようなことを言って、言い 続けて、ちっとも変わらない。しかし、いったん決めたら周囲に、外部に影響 が及ぶように、理解できるように、変わったことがみんなが認知できるように 変わらないといけない。そうでないと、周囲に影響が及ばない。また、以前と 一緒となる。 ●分かるようにとは、変化した痕跡、形を見せることだ。大きな乗用車を売っ て、小さな車に乗り換える。もっと言えば、社用車を売却して、タクシーで動 く。外部に借りていた賃貸倉庫をひとつ解約する。小さな事務所に移転する。 不要な資産を売却する。これらは外部から見て、形がみえることだ。しかし、 もっと大事なことは社長の生活習慣、会社での過ごし方、仕事の仕方を変える ことだ。これが、一番周囲に影響が大きく伝わる。まず、効果が大きくなる。 <変わると周囲にフォローの風が吹く> ●具体的には、単純なことだが、朝1時間早く来る。そして、毎日幹部の会議 を開く。または、毎日1時間現場を歩く。誰よりも一番長く現場に張り付く。 今まで行ったことのない重要な得意先をこまめに回る。金融機関の支店長と面 談する頻度を上げる。毎月の試算表が出る時期を10日早くする。そして、それ を持って金融機関に自分が説明に出向く。そのために、経理の担当者と仔細の 内容に関して、しょっちゅうヒアリングを行う。そういうことが起こると、周 囲は少々びっくりする。 ●社長室を大部屋に移す。会議は1時間と決めて立って行う。ショートの役員 会を日程を決めて30分でいいからこまめに行う。重要な案件の担当者をそこに 呼んで説明さす。そして質問をどんどんする。10万円以上の見積書には全部目 を通す。30分早く来て全員で掃除をする。これらは全部成岡が現場で見てきた 具体例なのだ。確かにスタートするには時間がかかったこともある。しかし、 いったん始めたらあとには退かない。それくらいの覚悟と決意でやれば、会社 は必ず変わる。 ●変わるかな?などと思っていたら、変わらない。自分から変わらないと、会 社は変わらない。変えようと決意することが、まず第一歩。そこから何でも始 まる。現に、まだ経営状態は苦しいが、社長が、役員が変わろうと決意して、 徐々に実績が出始めた企業も多い。そういう風が吹くと、結構追い風が吹くも のだ。風は勝手に吹くものではない。自らが周囲を巻き込んで動くと、その周 辺にはフォローの風が徐々に吹く。そう信じてやるしかない。やれば、何らか の結果は必ず出る。やらない、やっていないだけなのだ。