□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第462回配信分2013年03月04日発行 お客様の声をどう聞いて経営に反映するのか 〜お客様の本音をつかむ仕組みを作る〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●どんな業種、業態でも市場の声、お客様の声を事業に反映さすには、非常に 難しい。それができれば、事業は成長すること間違いないのだが、そう簡単な ことではない。というか、それが事業のすべてだと言っても過言ではない。古 来、ビジネスは永遠に顧客の声を事業に反映しようともがいてきた。しかし、 ことはそう簡単ではない。しかし、それが不完全にせよ、他社より先ん出て出 来た企業が成長しているのだ。のんびり構えている暇はない。 ●お客様の声をまずどういう風に集めるのかが難しい。定点観測、アンケー ト、クレーム集計、コールセンター、モニター評価など、いろいろな業種でい ろいろな方法で顧客の声を集める方法を探ってきた。しかも、タダではそうい う貴重な声は聞けない。そのために、多くのコストをかけ、時間をかけ、労力 をかけて集める努力をしてきた。しかし、何が正しくて、何が本当の声なの か、集めれば集めるほど真実は、本当のところが分からない。それくらい難し い。 ●また、集まったからそれが本音かと言われると、これも懐疑的にならざるを 得ないときも多い。実際にこれが本当のユーザーの声だろうかと疑心暗鬼にな る場合もある。判断に迷い、もう少し母集団が多くないと分からない、という 結論になる可能性も高い。しかし、それを言い出すと、もう少し、もう少しと 階段をどんどん上に上がらないといけなくなる。際限なく、いっぱいのデータ を集めても、最終的に結論を出すのは人間だ。データが答えを決めるのではな い。 <クレームは顧客の大事な声> ●ときには集まったデータと逆の結論を下す場合もある。何もアンケートの結 果が正しいとは限らない。そもそもアンケートは母集団に対して、何パーセン トの人が答えているのか、またそれが本当に真実の声なのか、現実は分からな い。記入データがほとんどだから、意識的にそう書く場合もある。これをより 所にしていると、手痛いしっぺ返しをくらうことにもなりかねない。参考には すれど、絶対的な結論ではないと心にしっかり刻んでおくべきだろう。 ●以前在籍していた出版社では、愛読者ハガキという挟み込みのハガキの返送 された資料を重視していた。しかし、まずどれくらい返送されていいるのかが 問題だ。ほんの僅かの返送されたハガキの回答や記載の意見が、読者の大多数 の意見かと言われると、はなはだ心もとない。しかし、それしか分からないと 言う。だから、それがすべてだと信じると、どうも現実は違うと言うことが多 かった。ほんの一部の愛読者ハガキの返送者の意見で判断しては間違う。 ●参考になるのは、クレームというか、顧客からの厳しい意見なのだ。クレー ムと言うと身構えてしまうが、顧客からの要望だと思えばいい。もっと言え ば、顧客がそれを教えてくれているのだ。字が小さいから読みにくい。つま り、字を大きくすれば評価は上がると言うことだ。真正面から受け止めれば、 宝の山がそこにある。その不満、不平を解消できたたいいのだ。そう考える と、実はクレームはお客様からの貴重なアドバイスだと切り替えればいい。 <顧客の声を直接聞く> ●成岡が経験したマーケティング手法で一番効果的だと思えたのは、モニタリ ングと直接面談だ。モニタリングは、数名の市場を代表すると思われる顧客層 の人に集まってもらって、直接集団で意見を徴収した。我々胴元は隣の部屋で そのインタビューを一部始終見ていた。当事者が直接聞くと本音を聞き出せな いこともあったので、利害関係のない第三者に依頼して行ってもらった。その ほうが本音がストレートに聞けて非常に参考になった。 ●もうひとつは直接面談に行った。見本や資料を携えて、対象と思われる市場 や顧客に直接面談に行って、いろいろと伺った。その際に注意したことは、実 は本当に本音で話しをしているかということだ。本音で語らないといけないの だが、ほとんどそれは期待できない。どうしても当方が当事者なので、オブ ラートに包んだような美辞麗句が並ぶときもある。特に上位役職者が出向く と、先方も気を遣って本音のことを言わない。まして、社長がインタビューす ると、そんな失礼な答えは返ってこない。 ●しかしそこを錯覚するトップの方も多い。ほとんどおべんちゃらの発言を本 当の市場の声と勘違いする。社長が友人や取り巻きにいくら聞いても本音のこ とは分からない。市場の真実の声は分からない。むしろ覆面のモニタースタッ フを抱え、そのメンバーが黙ってお客になりすまして購買行動や利用行動をし てもらう。そこで、いろいろな本音が聞けたり、本当のことが明るみになる。 意外と当初想定していたことと180度異なる結果になることが多い。それをそ のまま信じる。 <本当に売りをかけてみると本音が分かる> ●成岡の経験で言うと、試作品を持参してインタビューするのが一番効果的 だった。当方の経験も影響すると思うが、それなりに本音が聞けて非常に参考 になった。ひとつのポイントは本当に「売りをかける」ということだ。当方が 本気で売りにかけないと、分からない。意見を単に聞くだけなら、何もそう大 層なことを構える必要もない。しかし、本当に売りをかけると、今までと異な る事実が判明することが多い。うわっつらのアンケートより、売りをかけてみ ると人間は正直にものを言う。 ●そして、ないものねだりになる。これがあればいい、これがこうなっていた ほうがいいという、出来もしない注文がつくことが多い。しかし、逆に考えれ ば、それがクリアーできたら次の展望が拓けるという風に切り替えると、また 次が見えてくる。意外と簡単なこともある。当方はプロ意識に徹しているが、 顧客はそんなことはどうでもいい。その無理難題の会話の中から、いかに改善 点、変更点を感じられるか、そこが一番のポイントとなる。しかし、相当難し い。 ●モニターの言うとおりが正しいとも限らない。最後は経営者の意思決定に任 されるが、どうしてそういう結論に至ったかということが大事なのだ。100円 なら買いますといわれても、じゃあ130円では買う人が皆無かと言うと、それ はわからない。当方の感性の問題だし、先入観をいかに排除できるかがポイン トだ。思い込みの強い人には向かない。自分の結論に酔っ払って市場の声を謙 虚に聞くことが、難しくなる。それくらい、この市場の声をインタビューで集 めるのは至難の業だ。しかし、それを続けないといけない。