□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第466回配信分2013年04月01日発行 新入社員は最初が大事 〜徹底的にかまって早期に戦力化を図る〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●04月01日は新卒新入社員が入ってくる節目の日だ。街中にダークスーツの背 広姿の男の子や、黒いスーツを身につけたフレッシュな女性たちが溢れる。弊 社のオフィスのある四条烏丸は、京都のビジネス街のど真ん中だから、非常に 多くの新卒新入社員が溢れる。あまり背広やスーツが板についていないが、そ れでもフレッシュさやういういしさは、40年前を思い出して気分も軽やかにな る。自分もあのような時代、時期があったんだと。時間は戻れないが、気分は 戻れる。 ●どの企業に何人の新入社員が入ったかは知らないが、就職活動も大変だった だろうが、晴れてこの日を迎えた。紆余曲折はあっただろうが、とにかく今日 から社会人1年生。本意か不本意かは別にして、新しい世界に一歩踏み入れ た。まずは、白紙の気持ちでどんな仕事に対しても頑張る。まだ何も分からな い、知らないから、どんなことでも勉強になる。仕事で将来役に立たない仕事 は皆無だろう。簡単な伝票の起票でも、簡単な作業でも、すべてこれ勉強にな る。一生懸命やればだが。 ●しかし、これは印象だが最近の新卒社員は精神的に少し弱い。ストレスに対 する耐性がない。どうしても、仲間で群れる傾向にある。体育会の部活ではな く、サークルの印象だ。厳しさもなければ、規律も緩い。そんな曖昧な生活か ら、一変して社会人1年生に入学だ。さて、どのように今後会社に慣れていっ てもらえればいいか。教育をすればいいか。少し前なら、だいたいこういう入 社教育をすればいいとわかっていたが、最近の平成生まれの感覚と常識は少し 違うようだ。 <メンター制度も効果的> ●日本語での会話が少し不自由な人が多いようだ。自分がうまく伝えられな い。人の話しを長く聞く習慣がない。落ち着かないし、そわそわしている。い つも携帯かスマホを触っていないと不安のようだ。絵文字では会話はできる が、きちんと上下関係のある組織の中での会話ができない。大家族で育った経 験がないから、年上、目上、上司、先輩などと会話をあまりした経験がない。 本人も気遅れするし、周囲も気を遣う。それがかえってよくない場合も多い。 ●職場の構成にもよるが、メンター制度といってお兄さんのような存在を本人 に付ける。入った職場以外での関係だから、あまり業務的な上下関係を引きず らない。昔は独身寮などがあり、そこで同郷や同窓の先輩がいたものだが、中 小企業ではそうはいかない。中途も新卒も同じだが、とにかく新入社員は不安 でいっぱいだ。失敗もあれば、不始末もしでかす。ミスもあれば、粗相もあ る。それが職場であり人生というものだが、とにかく初めての経験ばかりだか ら、ストレスの塊になる。 ●そこでお兄さんのような存在のメンターが登場し、不安を取り除く。何でも 話しを聞いてやって、アドバイスをする。あまり年齢が離れないほうがいい。 数年以内が限界だろう。できれば、前年度くらいの入社者がベストだが。そし て、そのお兄さんが何でも疑問に答えてやる。不思議と疑問や質問は、あまり 重要なものは少ない。初年度の夏休みはどうなるだろうか、有給休暇はいつか ら取れるか、朝の出勤時刻は何時くらいがいいのか、昼休みはどうすごせばい いのか、・・・・。 <盆栽も声をかければ育つ> ●とにかく、当方から一生懸命声をかける。向こうから何も言ってこないか ら、疑問や質問がないのかと思うと、実は切り出せないから言えないという ケースも多い。他愛ないことでも、本人にしてみれば言い出すことは大変勇気 が要る。こんなことを聞いていいのだろうか、馬鹿にされないか、上司に言わ れないか。そんな不安が一杯だ。とにかく、初めしばらくは精神的に落ち着か すことが大事だ。当方から、いろいろと声をかけてかまってあげる。おこがま しいが、それが大事だ。 ●そして、極力会話し、飲む機会を設ける。本人が飲めないと仕方ないが、ア ルコールの機会はコミュニケーションのいいチャンスだ。そして、飲んだとき は上下関係を離れて、いろいろとつまらない会話をすればいい。何か接点があ るはずだし、意外な発見もある。上司と新入社員が親子くらいの年齢差がある 場合もあるから、接点を持とうとしないといけない。上司の会話の上手下手も 大いに影響する。自説や自慢話しばかりの上司では、新入社員はついていけな い。 ●もう亡くなったが、元経団連の会長の土光敏夫さんの言葉に「盆栽も声をか ければ育つ」というのがある。そんなことは有り得ないのだが、ものの例え で、植物の盆栽も手にとって声をかければ立派に育つというたとえ話だ。とに かく会話の量と組織での関係の強さは比例する。こちらが一生懸命声をかけれ ば、向こうにも気持ちは伝わる。朝の挨拶、朝礼での声かけ、掃除中の会話、 同行営業途中での世間話。とにかく、作れば機会はいっぱいあるはずだ。気持 ちが切れたら終わりだ。 <顔と名前が一致するか> ●入社直後の研修やオリエンテーションはしっかりやるに越したことはない が、2週間くらいがいいだろう。成岡が新卒で入社した製造メーカーは大企業 だったから、全国各地の工場や事業所を巡回しただけで1ヶ月かかったので、 正式な配属は連休前だった。中小企業はそうはいかないから、2週間くらいで 切り上げる。しかし、中味は濃いほうがいいに決まっている。幹部が一人最低 2時間くらいは講義の時間を持つ。社長は最低、半日しゃべるべきだ。 ●重要なのは配属後のフォロー教育だ。3ヶ月くらい経過した夏前くらいに3 日間くらい実施する。今度は現場の仕事を一応経験しての研修だから、内容も 一段とレベルアップしていい。実務と座学に基づいて、各自に発言の機会も与 える。入社後の印象と、3ヵ月後の印象とはまdるで違う社員もいれば、全く 変わらない社員もいる。それはそれでいい。研修の中日に飲み会の機会を設け る。運営を彼らに任せてもいい。いろいろと異なる場面を設定し、どの場面で 誰がどう振舞うかを観察する。 ●とにかく、経営陣と新入社員との距離を短くし、適度にかまうことが重要 だ。配属されて後は、現場に任せているというのは大企業の論理で、中小企業 は全員を早く戦力化しないといけない。10年後のリーダーを養成しないといけ ない。それは経営陣の大きなミッションだ。工場長や現場長に任せているとい うのは、答えにならない。顔と名前が一致し、廊下で会っても名前で声をかけ られるくらいに、一生懸命経営陣は自ら行動することだ。決して人事部に任せ 切りではいけない。