******************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第496回配信分2013年10月28日発行 習慣化することで身に付くことシリーズその4 〜タイムマネジメントのうまい下手が決定的要素〜 ******************************************** <はじめに> ●一日は24時間というのは、どんな人にも同じだがこれが意外とわかっていな い。つまり、裕福な人でも貧乏な人でも、忙しい社長さんでも暇そうな代表取 締役でも、どんな人にも一日は24時間だ。これは決して変わらない普遍的な事 実なのだ。しかし、この24時間をどれくらい有効に使っているかということに なると、これは別問題。無作為に24時間を浪費する社長さんもいれば、目いっ ぱい走り回り結果を求める代表取締役もいる。本当にさまざまだが、この少し の習慣の違いが長い年月では、大きな結果の違いを生む。 ●目の色を変えて、血走って、がつがつ結果を求める社長さんが必ずしも時間 を有効に使っているかというと、それはそうでもない。有効という時間の使い 方とはどういうことか。それは時間の使い方の優先順位がどの程度理解できて いるかということだ。一日は24時間。その時間の使い方の優先順位がどれくら い意識できているか。どうしても仕方なく時間を使うことが避けられない用事 もある。しかし、よく考えるとそれは果たして避けられないか。当然と思って いることが、外部から見るとどうして当然なのかわからない。 ●たとえば、免許証の更新。なぜか平日の一番重要な時間帯に平気で免許証の 更新に出かける社長さんがいる。免許証の更新は京都は日曜日にも可能だ。ど うして一番効率的に動かないといけない平日の午後に免許証の更新に出かける のか。その心理が分からない。何か持病があって病院に検査に出かける。堂々 と平日の一番稼働するべき時間帯に、病院に診察検査に出かける。それが、さ も当然のごとく繰り返される。その時間が浪費されていることを自覚していな い。社長の時間単価は高いはずだ。 <朝の時間の使い方がキーポイント> ●会議が定刻に始まらない。ずっと以前から予定はわかっているはずなのに、 なぜか10分くらい遅れて始まる。それがさも当然のように、誰もおかしいと思 わない。朝の朝礼が始業時間からだらだら始まる。朝礼中に電話が鳴ることも 多い。その都度朝礼が中断する。誰もおかしいと思わない。どこの金融機関が シャッターが開いてから、朝礼をしているだろうか。どうしてそれが許される のか、理解に苦しむ。しかし、ずっと続けていると習慣とは恐ろしい。全員が これが普通だと思っている。他社を知らないので比較ができない。 ●とにかく一日は24時間しかない。この時間の使い方がうまいか下手かで随分 と生産性は違ってくる。特に午前中の使い方のうまい人と、下手な人との差は 歴然としている。午前中の時間の使い方の上手な人に共通している習慣は、朝 が早い。全員が出てくる以前に自分の用事を片づける。それも短時間で片付け る自分流の流儀がある。まず、これをして、次にこれを片づけて、次にこれを して・・・、という具合に仕事がよどまない。流れるように時間が有効に使わ れる。つまり、迷わなくてもできる手順が決まっている。 ●込み入った仕事に入る前に、必ず実施する手順が決まっている。セットアッ プルーティンという決まった手順がある。毎日、毎朝、さあどうしようかと考 えない。考えなくてもできるように環境がセットされている。座ったら、まず これをして、次にこれをして、最後にこれをする。それが終わってから、これ を片づける。手順がよどみないから、時間のロスがない。しかし、1年365日 全部同じようにできるわけではない。朝、早い時間に移動しないといけない場 合もある。成岡なら、朝の07時にオフィスを出発しないといけない移動もあ る。 <毎日のリズムを変えない> ●そのような非定常な時間の移動も、逆算する。決まった手順のルーティンを 実施し、その後にオフィスを出るなら、何時までに起きて何時までにこれをし て、何時までにメールの返事をする。出発の時刻から逆算して、始動する時刻 を決める。そうなると、起床し稼働開始する時刻が変わる。それをいかにス ムースに行うか。それがきちんとできるようになると、ストレスを感じない。 従って、休日というものがない。土曜日であれ、日曜日であれ、祭日であれ、 年末年始であれ、稼働を考えると毎日同じリズムで動くようにする。 ●午前中はできる限り会議をしたり、考える時間を設ける。午後は基本的に外 部で人に会ったり、会社を訪問したりする。人に会う時間を午後になるべく設 定し、考えることは午前中に済ます。あるいは一人になれる移動の時間帯に行 う。電車などで移動する際には、必ず一人で移動する。なるべく車を使わな い。運転中は仕事のことを考えにくい。移動の時間は貴重だから、その時間帯 になるべく一人でものを考える。現地集合にして移動は極力一人になる。そう なるとその時間中は一人で考えることに集中できる。 ●午前中に1コマ、午後一番に1コマ、午後の後半に1コマ、夜に1コマ。こ れが時間帯の分け方のコツだ。そうなると、14時とかいう中途半端な時間のア ポイントの設定はあり得ない。14時の設定というのは13時に昼の休憩が終わっ てから移動する時間を含んでいる。13時にアポイントを設定すれば、昼の時間 帯に移動をして、ランチを済ませて、先方に13時に入る。そうなると休憩の時 間帯の使い方が変わる。公的機関の方と仕事をすると14時の設定というのが、 よくある。これは時間のロス以外の何物でもない。 <習慣とは考えなくても自然にできること> ●14時からのアポイントが最悪なら、14時からの会議も最悪だ。しかし、なぜ かそのような時刻の設定も多い。実際に一日24時間、本当に集中して稼働し、 ものを考えている時間がどれくらいあるか。移動、準備、待ち時間、後始末、 無駄な会議など、おおよそ24時間の中で本当に実質的に意味のある時間はどれ くらいあるのか。一度何かで読んだが、営業マンが一日で本当に顧客と面談し ている時間はそんなに多くないという調査結果があった。おそらく、それは正 しいと思う。実際に有効な仕事の時間はどれくらいあるか。 ●この数時間の分かれ目が、将来大きな差になってくる。その日、その日はあ まり関係ないが、一年365日となると随分異なる。まして、3年間、5年間と なると非常に大きな差になってわが身に降りかかる。しかし、毎日毎日はそん なに深刻に感じない。15分単位で時間の使い方を考え、一日4コマをうまく埋 めながら、かつ毎日の定常業務をさばく。前日のお礼のメールを09時以降に書 いていたのでは無駄が多い。そういう用事は本来の仕事の前に片づける。雑用 をいかに効率的にさばくか、これが一番大事なことだ。 ●以前に出版社に10年以上在籍したが、雑誌の編集長という職業は雑用の塊 だ。この雑用をいかに効率的に、かつ、難なくさばく、片づける術を身に着け ないといけない。そのためには、先週も書いたが、ものを探す時間は無駄だ。 必要なものがさっと出てくる。決まった道具が決まった位置に必ず置いてあ る。そのような習慣を、日ごろから苦も無く行えるように習慣づける。習慣と は、考えなくても自然にできることだ。そうなると、毎日毎朝、いちいち考え ない。ルーティンとはそういうものだ。ルーティンが確立していると時間を効 率的に使えるようになる。