******************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第498回配信分2013年11月11日発行 習慣化することで身に付くことシリーズその6 〜仕事のスピードを上げ反応を速くする〜 ******************************************** <はじめに> ●成岡の仕事のモットーのひとつに、「拙速は巧遅に勝る」というのがある。 要するに、70点くらいでもいいから早くやるほうが、ゆっくりやって100点を 取るよりいいということだ。早かろう悪かろうはいけないが、だいたい目途が 半分くらい立ったら始動することだ。全部材料が揃わないと動かないというの は、結果的にうまくいく確率は、逆に低い。当初の確率は低いかもしれない が、おおよその見通しが立ったら一歩踏み出すことだ。賢い人ほど、いろいろ な理由をつけて初めの一歩が出ることが遅い。理屈より行動だ。 ●同じようなフレーズだが「反応を速く」というのがある。いつまでも返事が ないことより、とりあえず回答はできないが、すぐにはできないということを 返事したおく。その後自分なりの期限を決めて、経過の返事や報告をする。こ の、ファーストリアクションというのが非常に大事なのだ。警察の事件の捜査 で言えば、初動とその次の初期捜査だ。ここが遅れたり、間違うとその後ずっ と、尾を引く。まず、とにかく反応する。無反応が一番いけない。内容のある 返事ができなくても、とにかく受信したメールに返事する。 ●「見ました」でもいいし、「見たけどすぐに返事できませんが、しばしお待 ちを」でもいい。メールはご存じのように相手が本当に受信したか、受信して も開いたか、開いても見てくれたか、見てくれたけどきちんと理解してくれた か、といういくつかの段階が、全く分からない。よって、送信した者からする と非常に不安になる。特に、成岡はいらち(京都弁でいらいらしやすい人とい う意味)だから、返事が48時間以内に来ないと、かなりショックを受ける。こ ちらから一方的に配信するメールは別だが、単独で送信するメールへの返事が ないと、非常に不安だ。 <早く反応すると結果はいいことが多い> ●現在診断協会で担当させていただいている某案件も、たまたま診断協会にか かってきた電話にいち早く反応したから、以来7年間継続している仕事があ る。当時の診断協会には常駐の担当者はおらず、パートの女性事務の方がいる だけだった。この状態は現在でも同じで、一向に改善はされていないが。しか し、たまたまその日は当時の支部長のTさんが事務所に顔を出していた。よっ てその問い合わせの電話にすぐに反応できた。そして、その案件は順調に進行 し依頼主から高い評価を受けた。 ●のちにクライアントの方と懇談したおりに、どうして京都の診断協会に依頼 されたのですか?と聞いたら、まず一番にすぐに反応してくれたからだと、明 快に言われたのをいまでも覚えている。いくつかの、専門家の協会に電話を入 れたが、おたくの協会が一番早く反応してくれたからだ、と打ち明けていただ いた。どこの協会でも、特にどこということはなく、どこでもよかったのだけ ど、とも言われた。そうか、そんなものか、と若干落胆したと同時に、反応が 早いということが大事なんだと肝に銘じた。今でもしっかり覚えている。 ●例年弊社で開催しているイベントの告知チラシを作成する場合も、よくこれ と同じことが起こる。3社くらいに見積りを依頼する声をかけると、金額の大 小もあるが、結果的に一番早く反応してくれたところに発注していることが多 い。理由はないが、多少の金額の多い少ないより、やはり早く反応して一番に 回答を出してくれたという、覚えのめでたさが優先しているようだ。これが数 億円のビジネスの案件ならべつだろうが、たかだか数万円なら、やはり当方と しては一番早く反応してくれたところに発注したくなるのが、心情だ。 <かなり早めの納期を自分で設定する> ●仕事の納期に関する考え方も同じだ。25日までに、と言われたら、かなり早 めにドラフトを送る(ドラフト=未完成版)。未完成ではあるが、だいたいの 流れや構成、目次立てはわかる。詳細な部分より、まず大きな目で見た設計図 が、依頼主の意向を反映しているか、どうかをチェックしてもらう。依頼主の 意向通りになっているか、どうかがポイントであり、自分の勝手な意向や意見 は、極端に言えば関係ない。自説をしつこく展開するより、依頼主の意向に 沿った内容になっているか、それが大事なのだ。 ●そのことを早く確認する。もし、それがずれているとすぐに修正を要する。 かなり先まで行って、時間もなくなってから、大幅な内容の改定や修正をする のは、正直難しい。それくらいなら、早めに50点くらいの段階で、一度確認し ておく方が、よほどいい。早めに、早めに、なんでも早めに、対応すること だ。かなり出来上がるまで、水面下にあって、最後にやおら浮上するより、早 く見せておいた方がいい。とにかく、時間がなくなってから直すのは、何事に よらず難しい。早め、早めに対応する。これが原則だ。 ●しかし、そうことは簡単ではない。よって、とにかく対応しないといけない 案件を、常にA4の紙1枚に上からずらっと書き上げるようにしている。以前は 手帳の最後の方のページを使って同じことをやっていたが、とてもそれでは対 応が難しいことがわかった。なので、最近はA4の紙にずらっと書き上げるよう にしている。箇条書きで案件の名前や、講演のテーマ、報告書の名前などを書 きあげる。その左側にオーダーされている納期、右側に成岡が自分で設定した 納期を書く。だいたい2週間前くらいの日程にしてある。 <課題をA4の紙に全部書き上げる> ●このA4の紙を常に持ち歩く。電車に乗っても、とにかく一人になったとき に、まず目に触れる位置に置いておく。そして、終わったら赤線を引く。いく つかの案件が赤線で引かれ、新しい案件の名前が追加されると、紙の中がご ちゃごちゃになってくる。相当乱れてくる。その時点で、また新しいA4の紙を もってきて、書き写し、書き直す。この作業は優先順位の棚卸にもなり、再度 案件の重要性を自然に吟味することになる。しかし、あまりよくないこともあ る。近視眼的な課題や案件は、ここでも確認できるが、大きなグランドデザイ ンや納期が極端に長いものには、そぐわない。 ●この習慣は、以前に在籍していた製造業の神様のような存在だったS部長が 実践していた方式だ。彼の部長室には、うしろにホワイトボードがあって、成 岡が今A4の紙に書いているのと同じことを実践していた。幹部の名前が10名く らいずらっと書いてあり、その幹部ごとに誰に、何をオーダーしているのか が、一目瞭然にわかる。どんどん消えて少なくなる人と、どんどん増える人が 歴然とわかる。部長室に呼ばれる都度、成岡の部分を見せられて、相当な小言 をいつも賜る。この部長室に呼ばれるのが、相当つらかった。 ●早く反応するには、このように現在抱えている案件が一目瞭然で分かり、そ の優先順位が頭に入っていないと、何に早く反応して、何が後回しになっても いいのかが、常にブラッシュアップされている。急にやろうとしてもできない が、慣れるとあまり苦にならない。とにかく、ゆっくりやって完璧を目指すよ り、だいたいのところが見えたら、それ以上は見切り発車することだ。業務に 完璧はないから、早く反応して、指定納期より半月くらい前に未完成版でもい いから、依頼側に渡しておく。そうすると非常に覚えがいい。