******************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第502回配信分2013年12月09日発行 2013年を振り返ると何がよくて何がダメだったか 〜今年1年を総括し2014年を占う〜 ******************************************** <はじめに> ●昨年の11月に民主党から自民党に政権が移り、安倍内閣が誕生してほぼ1年 が経過した。早いもので、もう年末の年賀状の心配をしないといけない時期に なった。カレンダーも残り1枚になり、ぼちぼち来年のカレンダーが届くよう になった。これから年末にかけて、何やら慌ただしい時期に入る。何となく気 忙しいと感じるが、時間がなくて何となく気持ちが焦り始めている。これでは いかんと思うが、なかなか仕事の交通整理がつかない。優先順位を決めないと いけないと思うが、どれも重要なので順番がつけにくい。 ●まずは手帳を2014年度のものに取り換えた。この時期に早く手帳を翌年のも のに取り換えるのは、20年間の恒例行事だ。12月で終わるのではなく、12月は 翌月の01月の前の月だという観点で、必ず12月になったら翌年の手帳に先行し て切り替える。現在使っている手帳は、もう20年来のつきあいだが、12月の欄 がきちんと設けてあり、至極便利だ。誰の意見でそうしたか知らないが、成岡 のマインドにぴったりなので、ずっと使い続けている。なかなか書店や文具店 で売っていないので、直接注文している。 ●今年の流行語大賞が発表になり、みなさんの予想通り「倍返し」というキー ワードが流行語大賞に選ばれた。今年は異例中の異例で、4つの流行語がいず れも甲乙つけ難いということで、4つ共に流行語に選ばれた。多少大盤振る舞 いという感じは否めないが、たしかにこの4つは今年を席巻した感のある流行 語だ。また、大賞にははずれたものの中にも、当然例年なら大賞になるだろう というキーワードも数件あった。それくらい、今年は豊作であり、社会経済の 環境が大きく変化した潮目の年だったかもしれない。 <2020年東京五輪招致成功がまず一番か> ●第一に挙げられるのは「2020年東京五輪招致に成功」だろうか。前回は日本 全体が盛り上がらないまま、惰性で候補地に立候補したが、当然のごとく落選 した。国民の盛り上がりがないまま、一部特定の人々が主導したのだが、当然 のごとく実現には至らなかった。この反省から、今回は準備や根回しに相当の 時間とコスト、エネルギーを投入した。選ばれた理由はいろいろと取沙汰され たが、やはり前回と比較して、震災復興という切り口が一番アピールしたよう に感じられる。 ●2020年、7年後の将来というタイム感覚も、絶妙のタイミングだ。現在高校 生18歳くらいの人材が、7年後には25歳。一番の旬の時期を迎える時点で、東 京周辺で五輪の開催が行われる。当然、そのときに活躍が期待される選手は7 年後に向けて、どのようなトレーニングや練習を積めばいいかが、比較的わか りやすく明示できる。また、7年後というのもビジョンを検討し、計画を作る においても、一番考えやすく手ごろな感覚で対応できる。それくらい、将来に 向けた目標、ビジョンというものは非常に大切だ。 ●ただみなさんが懸念される首都圏一極集中が、ますます激しくなるだろう。 現在でも経済規模は関西と比較して10倍くらい違うのではないかというのが、 実感だ。以前は東京が5なら関西は3くらいというのが常識だったが、現在で は東京が10で関西が1くらいか。それくらい経済規模では、以前よりもっと格 差が拡大しているように感じられる。さて、この2020年東京五輪をどのように 自社の事業領域、ビジネスモデルに乗っかることができるのか。近づいてから では遅い。今から周到な準備が必要だ。 <消費税増税決定が第二番目か> ●第二の大きなテーマは「消費税増税決定」というのだろうか。8%への増税 は既定路線ではあったが、経済環境が許せるぎりぎりの選択ではなかろうか。 これも国際公約のようなテーマに昇格して、逆に実行せずに先送りすると、一 挙に世界中の信頼を失うという段階にまで追い詰められている。いまさら、ど うこう言わずにきちんと払うものは払う。納めるものは納める。決して誤魔化 しは行わない。これくらい慎重に決定しても、まだ増税反対を唱える人が存在 する。それくらい影響が大きいのは理解できるが、いまやらないと意味がな い。 ●この増税分くらいが価格転嫁できないビジネスモデルがあるなら、それはそ もそもおかしい。付加価値が高ければ、いくら消費税が上がろうが、あまり関 係がない。この時期に及んで、はたして自社の製品商品が、消費税アップ分だ けでも上積みできるか。できないならば、それは将来非常に危ういビジネスモ デルになる危険性がある。本当にきちんと対応して増税分を価格転嫁し、消費 者にも納得していただけるような製品であり、商品であり。サービスでないと おかしい。小手先で対応してはいけない。 ●おそらく2014年の最大のイベントは、この04月の消費税の増税対策だろう。 業界や団体によって相当対応にばらつきがありそうだ。表示の問題もしかり。 同じ流通業の中でも対応に違いがみられたり、ちぐはぐさが目立つ業界業種も ある。最終的にはビジネスの価値は生み出した付加価値の大小で決定されるの だろう。心配は、駆け込み先食い需要が一巡し、消費が後退する局面になるの ではないかと感じている。いま、ここで消費が落ち込み経済が停滞する局面に なると、従来の政策はなんだったんだと言いたくなる。 <食料・環境・エネルギー・観光> ●消費税増税対策で、またぞろ補正予算が組まれる。前回殺到した「ものづく り補助金」の第二弾があるようだ。今回はさらに総額がかなり上積みされてい る。補助金の上限枠も増額される可能性がある。前回も相当数の申請申し込み があったので、今回増額されて支給されるということになると、また製造業を 中心に申請申し込みが殺到する可能性がある。たしかに試作中心ではあるが、 以前の申請数からして、今回も数多くの企業が手を挙げるだろう。ばらまきと の批判はあるが、この補助金は使い勝手がよかった。 ●とにかくここで景気が後退局面に入ることだけは、何としても避けたい。そ のための大盤振る舞いも、多少は致し方ないかもしれない。製造業の空洞化が 懸念される中で、今後有望な分野は、「食料」「環境」「エネルギー」「観 光」の4つではないだろうか。特に、「食料」と「エネルギー」の分野におい ては、大きな技術革新が生まれる予感がする。自社の事業領域が関係ないか ら、ぼっとしていてはいけない。なんでも社会の出来事は自社のビジネスモデ ルに、必ず何かは関係しているはずだ。ぼっとしていては手遅れになる。 ●特に経営者、なかんずく代表取締役社長というポジションの方は、この成長 が見込まれる事業分野とどのように接点を持ち、どのようにその周辺で事業を 成長させていくかは、非常に重要だ。目先の、今日明日の緊急なことより、3 年後5年後の会社のビジョンはどうあるべきか。とにかく、目先の緊急な業務 は現場に任せて、もっとヘリコプターで上空から視察をすることが大事だ。緊 急なことより重要なことを行う。これが経営の要点だ。果たして2014年はどう なるのか。04月の消費税増税がひとつの節目になるように思われる。