******************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第508回配信分2014年01月20日発行 中小企業の経営者が日ごろから備えること その6 〜現在の組織図を常に頭に描き3年後を考える〜 ******************************************** <はじめに> ●まず、手始めに現在の組織図をきちんと書いてみる。意外ときちんと書いた 組織図を常に更新して保持している経営者の方は少ない。4月に一度作った ら、はいそれで終わりというケースが多い。実際には、その後いろいろな人の 入れ替わりがあり、メンバーも相当変わっているが、4月に作ったときそのま までメンテナンスしていない。とにかく、組織図は常に異動や入社退社がつき ものだから、いつも最新の状態にしておくことが大事だ。そうでないと、相当 時間の経った組織図を持ってこられても、現状と大きく違うなら意味がない。 ●その組織図に可能なら、まず部署の名称をきちんと書き込む。そしてその部 署の名称の横か隣にその部署の担当している業務を簡潔に箇条書きにする。あ まり適当にあいまいにせずに、きちんと現状責任を持ってカバーしている守備 範囲を明確に記載する。それをしようとすると、今一度この部署のミッション は何だったかと、自問自答する必要がある。年度単位の事業計画などがきちん とできている会社では、おそらくそのような部門のミッションが毎年毎年見直 され、極めて明確に記載されている。 ●各部署と社長以下の役員や取締役会との線引きも重要だ。ライン組織とス タッフ組織との連携や相関関係などを明確にするために、実線でそれらの部門 を関連付ける。文鎮型のように横一線に均質均等に格付けされるのか、それと もライン組織とスタッフ組織が複雑に絡まるのか。また、管理的な部門などは 社長直轄などという企業も結構多い。経理部だけ独立させて専務直轄などとい う企業もある。いずれにしても、それぞれの部署がどのような機能を持ち、誰 が責任者で、ミッションはなにかと言うことがどれくらい明確か。 <現状の組織図に幹部ラスの氏名を入れる> ●現状の組織図がきちんと書けたら、次はそこに責任者の名前を入れる。部 長、次長、課長、工場長など役職名も記入する。まだ、全員の氏名を書く必要 はない。幹部会議レベルに参加する役職者の名前を記入する。役員クラスも当 然記入する。専務、常務などの役付役員クラスは非常に重要だ。そして、その メンバーの氏名の横に、入社年月日と生年月日から計算する勤続年数と現在の 年齢が記載されるようにする。エクセルが使える方はご存じと思うが、一定期 間の年数などは自動的に計算できる関数がある。それを利用する。 ●まずは組織図に部署名とその役割が記載され、次にその横に責任者の氏名が 記載され、勤続年数と年齢が分かるようにする。その組織図をじっと眺めてみ る。少なくとも、現状はその組織図で業務が行われ、365日毎日毎日いろいろ なことが起こり、売上が上がり、費用も発生し、利益が計上されている。会社 の組織というものは、いったん出来上がると肥大化はするが、スリムになるこ とは少ない。どうしても、いろいろなことが付随して起こり、簡素化できるこ とは少ない。まして自発的に行われることはない。 ●現状の組織図では何が問題になっているのか。まじまじと眺めてみる。役員 クラスの年齢なども重要だ。もう役員クラスが高齢の場合、果たしていつ誰を どのようにうまく交代してもらうのか。役員クラスの後継者はいるのか。いな いなら、どうするのか。若手の幹部クラスで次の役員候補はいるのか。外部か らリクルーティングするなら、早く動かないといけない。このクラスになる と、すぐにどこかから連れてくるわけにはいかない。役員人事は経営トップの 一番重要な仕事だ。通常2年任期だから、周到な準備が必要だ。 <所属する全員の氏名を入れる> ●次に各部署に所属する各人の氏名を書いて、同じようにその横に勤続年数と 年齢が自動的に計算できるようにエクセルで作表する。人数が多いと大変だ が、一度作成したらあとは自動的に計算してくれるし、人の異動や入社退社も こまめに更新すれば、そう面倒なことはない。役職者から始まって、末端のメ ンバーに至るまで、顔と名前は一致しなくても、最低氏名は記載する。そして 同じように一生懸命眺めてみる。そして考える。果たしてこの組織図のどこに 問題があるのか。今年の事業計画をこの組織図できちんと達成できるか。 ●組織図を眺めるときは、一人になるときがいい。ごちゃごちゃした業務を 行っているときには難しい。メールやファックス、電話や来客、相談ごとに入 替り立ち代わりいろいろな人が出入りするせわしないときに、そういう重要な ことをゆっくり考える時間がない。そういう時間は業務を「こなす」時間で、 ものを「考える」時間は別に改めて作らないといけない。可能なら会社を離れ てどこか静かなところで一人になって考える。それくらい日常から離れない と、目先のことを一生懸命やっているときには、そういうことに血液が回らな い。 ●次に、3年先のことを考える。事業計画はすべて3年さきのことから始まる から、3年先の自社のビジョン、イメージ、計画から考えて、現状の組織図か ら3年先の組織図を考える。3年と言う時間は短いようで長いから、全員間違 いなく3つ年齢が加算される。これには例外はない。社長の自分自身も含めて 全員3つ歳を取る。さて、3年先自分の会社のメンバーはどのようになってい るだろうか。3年先の計画からすれば、どの部署の誰が交代していないといけ ないか。新しい部署が最低2つはできている。責任者はいるか。 <3年後のイメージする組織図とのギャップを考える> ●経営者の方はどれくらい自分の会社の3年後の組織図がイメージできている だろうか。3年後というと相当先のように思えるかもしれないが、3年間など はあっという間にやってくる。最近特に時間の経つのが早く感じるようになっ た。少々年齢が高くなってきた影響かもしれないが、この3年後の自社の組織 図をイメージしておくことは非常に重要だ。なぜ重要かと言うと、3年後の組 織図は3年後に自分の会社がどんな事業をどのように行っているかが明確でな いと、組織図は書けない。当たり前のことだが。 ●まずは計画ありきだが、その計画も人材がいないと達成できない。その人材 がいるか。いないならどうするのか。外部から招へいするか。それとも強引に どこかから引っ張るか。息子の専務が3年先に後継者として交代するなら、そ のときにきちんと周囲を固める役員や幹部クラスは育っているか。新しい事業 部ができているはずだ。その事業部の責任者を誰にするのか。そういう人材は 社内にいるか。いま兼任、兼務している部署がいくつかあるが、兼任はよくな い。幹部クラスが足りていない。果たしてどうするか。 ●経理担当の役員が高齢で、もうぼちぼち交代の時期だ。しかし経理の責任者 と言うのは存在は重たい。誰でもいいということにはならない。これは社長の ミッションだ。必ず誰か自分の責任で後継の経理責任者の役員を固めておかな いといけない。そのような穴だらけ、問題山積の3年後の組織図が見えてく る。それからがトップ社長の出番だ。この現状と3年後のあるべき姿の組織図 を常にポケットに入れて、いつもどうしようどうしようと考える。寝ても覚め てもこの3年後の組織図を完成するために考える。その対価として社長の報酬 がある。