******************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第520回配信分2014年04月14日発行 中小企業の経営者が日ごろから備えること その18 〜世の中の動きを勉強するには定点観測をする〜 ******************************************** <はじめに> ●経営者と言う職業の方は、なかなか忙しい。やはり、規模の大小にかかわら ず会社を経営するとなると、全部の責任がかかってくる。特に、従業員が多数 在籍する企業では、その責任は非常に重要、重大だ。従業員の人数の2倍から 3倍の人数が家族を含めた人数だから、その生活を全部背負っているようなも のだ。こう考えると、夜も寝られないということにもなりかねない。そうなる と、性格がどちらかというと後ろ向き、弱い方には向かない。ピンチのときな どは、気分的に相当追い込まれる。時には、開き直りも必要となる。 ●このような責任重大、忙しい経営者に、世の中の動きを常に注意し、ウォッ チしろと言っても、なかなかできないのが正直なところだろう。いろいろなお 付き合いもあるし、いろいろな会合、会議も出ないといけない。時間はいくら あっても足りない。よって、なかなか世間の動きに目が行かない。こんな情報 がこんな雑誌に掲載されていたとか、こんな記事が新聞にありましたとか、見 落としているものも結構ある。小さな新聞記事でも、よく見れば結構自分の業 界に関連していることも多い。一生懸命目配りしても足りない。 ●さて、そのように最近ではIT技術の発達に伴い、便利な道具が増えたので、 何を見たり聞いたりしたらいいのか分からないことも多い。選択肢が非常に多 くなり、それだけでも迷ってしまう。従って、一応自分としては情報収集の ルール化をしている。そうしないと、かえって迷って分からなくなる。つま り、情報収集には定点観測地点が必要なのだ。それを自分なりに一定期間決め ておけばいい。ルール化、習慣化することは大事なことだ。迷わないと時間の 節約にもなるし、効率が断然ちがう。 <新聞、雑誌、ラジオを活用する> ●新聞や雑誌は当然決めてある。新聞は決まった新聞を購読されているが、雑 誌も決めてある。ずっと定期購読している雑誌と、1年ごとに変えてみる雑誌 と2種類を使い分けている。あと、意外といいのが無料で配布される色々な機 関誌だ。これが意外と役に立つビジネス情報を持ってきてくれる。新聞は必要 な記事はその場で破ってストックする。雑誌の記事もその場でちぎってストッ クする。電車の中で、雑誌をよくちぎっていると、向かいの人がびっくりして こちらを見ることがよくある。でも、お構いなくやっている。 ●新聞と雑誌の切り抜き、ちぎった紙の資料は、1か月に1回休日を決めて整 理する。意外とそのときは必要と思って取り置いたものが、時間の経過と共に 古くなるものもある。1か月くらい経過すると、情報の取捨選択ができて、 ちょうどいいくらいだ。だいたい1か月分は2時間くらいあると、整理でき る。A4の裏紙にコピーして原本の新聞や雑誌は捨てる。そのA4の紙をさらに整 理する。これを繰り返していると、結構選択された情報だけが残るようにな る。その場でやることが大事なのだ。あとで、なんて言っているとほとんどで きない。 ●ラジオは非常に便利なメディアなのだ。なにせ見ないでもいいので、耳から 入ってくる。別のことをしながら聞けるというメリットは大きい。朝の急いで いるときなど、特に便利だ。毎朝06時43分くらいからNHK第1放送でやってい る「ビジネス展望」という番組は非常にすぐれものだ。有名、著名な評論家、 大学教授、マスコミ関係者、公的機関の偉い方などが毎日日替わりで登場し て、そのときどきの主要なテーマを分かりやすく解説してくれる。これは朝に 聞いている定番の番組だ。取り上げられるテーマは、その時点でのタイムリー な話題だ。 <書籍は書評で選択する> ●このビジネス展望で話題になるテーマがとりも直さず、その時点でのビジネ スでのテーマなのだ。今日は何がテーマ誰が話すのか、これをトレースするだ けでも結構勉強になる。この時間帯に合わせて、朝の行動を組み立てる。そう なると、いいリズムが生まれてくる。習慣化すると一定の規則的な生活習慣が 生まれる。新聞を読みながらでもいいし、朝食を取りながらでもいい。移動中 でもラジオなら聞ける。最近は1週間分を翌週にインターネットで聞くことが 可能になった。しかし、その場、その時に聞くのが一番いい。 ●TV番組もいくつか定点観測している。TV番組はほとんど放映の時間は、まだ 業務中、仕事中、移動中が多いから、録画してあとで流しながら見ている。こ れがたまるとなかなか見る時間がひねり出せないことが多い。どんどんたまっ て、結局見ない、見れないことが多い。よって、なるべく早く、時間を空けず にすぐに見るようにしているが、これがなかなか難しい。一番苦労するのはTV の録画した番組を見ることだ。経済、ビジネス系の番組が多いから、どうして もすぐに話題になることが多い。 ●書籍は書評を読んで、アマゾンで注文する。書評も、どの雑誌の書評を参考 にするか決めている。都度都度、浮気をしているとそれだけで疲れる。参考に している書評は、新聞1紙と雑誌が3雑誌。その書評で取り上げられた書籍を 選択、吟味して注文する。書店にもたまに立ち寄るが、それは新刊書の積んで あるコーナーを見るだけ。いまどんな本が並んでいるのか、ウォッチするだけ だ。最近、めったに書店で本を買わなくなった。ほとんどアマゾンで注文して いる。とにかく早く届くのには、びっくりする。 <自ら動くこと> ●お店も定点観測する店をいくつか決めている。業種、業界でいろいろとある だろうが、消費財系の店舗は決めてあって、一定のインターバルで必ず覗くよ うにしている。スパー系のお店をひとつ、消費財系のお店をひとつとか、決め ておけばいい。わざわざ行くのは大変なので、定期的に仕事で行く近くの大型 店を必ず寄ってみるとか、電車の待ち時間をわざと作って、その空き時間に行 くとか、結構工夫は要る。しかし、実際の現地、現物を見ることの意義は大き い。そういう意味では書店も決めておけばいい。 ●このようにして、世間の動向、風、動き、流行りなどをなるべく肌感覚で実 感できるように工夫する。経営者がこのような工夫をしないと、トップでいる 限り、誰かが好意的に言ってきてくれることを期待してはいけない。そのよう な人徳のある方もあるだろうが、やはり自分で自ら求めないといけない。そう いう意味では社長室に引きこもっていてはいけない。最低でも、大部屋の真ん 中にいて、営業やスタッフの動向が見えるところにいるべきだ。最低限、まず は社内での定点観測もする必要がある。とにかく自分で努力しないとダメだ。 ●関西に住んでいるので、たまに東京に出張する用事を作っていくべきだ。ど んな人が、人種が新幹線で移動してるのか。先日、久しぶりに新幹線に乗った が、外人客の多いのに正直びっくりした。為替の影響もあるだろうが、これは 確実に外人客が1,000万人を超えて、このままならもっと増えるだろうと実感 した。2020年の東京五輪までに、相当数の外国からの観光客が増える予感が、 確実なものに感じられた。やはり、じっとしているとなかなか分からない世間 の動きがある。とにかく、自ら動いてアンテナを張り巡らさないといけない。