******************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第527回配信分2014年06月02日発行 中小企業の経営者が日ごろから備えること その25 〜とにかく先頭に立って走る元気を保つ〜 ******************************************** <はじめに> ●中小企業の社長たる立場の人は、常に明るく元気でないといけない。社長が 陰気くさかったり、元気がないと、企業そのものも元気がなくなる。大将が元 気がない戦国チームは、戦をしても勝ち目がない。兵隊は常に敵より大将の方 を見て戦をする。その大将に元気がないと、組織そのものも元気がなくなる。 しかし、常に24時間365日元気を保つのはかなり難しい。至難の技とは言わな いが、結構常に備えていないといけない。では、常に備えておくにはどうすれ ばいいのか。今回はそのヒントを探ろうと思う。 ●まずは毎日の身体のコンディションを保つこと。病は気からだから、とにか くメンタルのコンディションを安定化さすことが大事だ。毎日いろいろなこと が起こるから、とても安定することは難しいが、日ごろから心がけている人 と、全くその場その場の出会い頭でやっている人とでは、長い時間の中では雲 泥の差が出てくる。メンタルのコンディションを保つには、フェーズを切り替 えるギアチェンジが必要だ。朝一番からいきなりエンジン全開は難しい。車と 同じで少しアイドリングが必要だ。それから一気に走り出す。そういう習慣を つけないといけない。 ●ではギアチェンジをするために何が必要か。朝一番で社長が元気な顔、姿を 見せるためには、最大限前日を引きずらないことだ。前日にいやなこと、機嫌 の悪いこと、気が滅入ることなど、何なりと落ち込むことはある。しかし、そ れを翌日に引きずっていはいけない。緊張感を保つこととは別問題だ。元気で 緊張感を常に保つことが大事だ。自宅を出てオフィスに入る、職場に入る、そ の時間の間にギアチェンジができるのが一番理想的だ。オフィスに来てから チェンジするのは難しい。適当な時間の間に自分なりのギアチェンジの方法を 見つける。 <朝のギアチェンジが大事> ●方法は人それぞれ違っていてもいい。曜日で方法を変える人、決まった方法 を毎日習慣化する人、途中で何かフェーズの変わることを入れる人、身体を動 かし汗をかくことでギアチェンジをする人。方法は違えど、何らかの自分なり の習慣化した法則を身に着ける。そしてその方法に則り、マインドチェンジを してオフィスに入ったらフルスロットルでエンジン全開になるようにする。や はり、そう考えると朝あまり時間がぎりぎりで切羽詰まった環境では難しい。 朝早い時間に弱い人は辛いが、朝はやはり早く動くのがいい。 ●農業ではないが、太陽が昇ったら活動を始める。体内時計を動かす。自分の 身体にスイッチを入れる。アイドリングしたらギアを入れて走り出す。その手 順、儀式を決めておくといい。朝のセットアップはこのようにすると決めてお くと、無駄がないし、シンプルになる。あれこれ考えると、不要な箇所に神経 を配らないといけない。精神的にも非常にストレスがかかる。このようなスト レスを繰り返すと、身体のどこかに異常の原因を作る。そうなると、何かしら 病気のルーツができてしまう。そして、本当の病気状態に陥ることになる。 ●成岡は個人的にはご存じのように身体を動かし、汗をかき、運動をすること でストレスを解消し、前日の悪いものを汗と共に昨晩のアルコールと一緒に吐 き出す。そしてシャワーをしてすっきりして、それからエンジンをかける。一 日の時間の4%をこれに使うと決めているから、考えないで行動する。朝起き てから、さあどうしようかと考えない。考えないから選択肢がないので、勝手 に身体が動くように仕組みができている。そうなるのに、20年近くかかった。 しかし、20年間継続していると、それなりにノウハウも出来てきた。 <朝一番の手順を決めておく> ●次に社長が一番に考えないといけないことは、一番に取り掛かる仕事、動作 だ。これは手順を決めておかないといけない。その日、その日で、さあ今日は どうしようかというのは、いただけない。まず、オフィスに来たら、一番に何 をする。次に何をする。そして、何をする。いくつかの基本動作は毎日変わら ない。この変わらない基本動作を繰り替えすことで、頭が活性化し、血液の循 環がよくなり、脳がフル回転で動く準備が始まる。最低、3つくらいの手順を 決めておくといい。しかし、毎日毎日同じ環境で動いているのではない。だか ら難しい。 ●しかし環境が変わっても、なるべく同じことが同じようにできることを心が ける。少々厳しくても、いったんオフィスに入って同じことを行い、エンジン をかけてから次の目標場所に移動する。直行もいいが、できる限り同じ手順で できるようにする。そのために2時間早く動き出さないといけないなら、前日 から2時間早く動く、起きる環境を作る。その当日は厳しいが、同じようにす ることによって習慣化した手順が守られる。そのほうがストレスが少なくな り、元気のパワーが維持できる。社長は組織のトップだから、常に元気でない といけない。 ●挨拶は重要だ。特に朝の挨拶の返事や様子で、個人の、部署の、組織全体の 雰囲気が分かる。重要な案件を担当しているメンバーには、こちらから出向い て声をかける。内容は極端に言えば、なんでもよい。ただ、もうあまり個人的 なバカ話はできない。やはり担当しているプロジェクトがうまく行っているの か、行っていないのか。そこが一番重要だ。当方から元気に声をかけること で、プロジェクトリーダーは元気を取り戻す。多額の投資をしているプロジェ クトなど、特にそうだ。こちらが元気な顔をして、挨拶や声かけに出向く。こ ちらから出向くことが大事だ。 <社長は常に自分のエンジンを全開にする> ●組織のトップが直々に出向くことが重要だ。足を運ぶということは、気に なっているから、興味関心が高いから、動向に敏感になっているから、期待が 大きいから、なのだ。それを元気に話して分かってもらえるようにしないとい けない。あまり言うとプレッシャーに感じられるといけないが、しかし期待の 高さは言うべきだ。そして結果が出たら、すぐに報告に来てほしいと念を押 す。決済の書類が回ってきて、それからやおら重たいお尻を上げて現場に出向 くようではいけない。常に元気にこちらから声をかけることが大事なのだ。 ●あまり難しい理屈で考えないことだ。経営はシンプルに、単純にしないとい けない。特に社長の行動はシンプルに考える。すべての行動、思考は会社のた めだ。特に中小企業は、そのように割り切る。どこまでが個人で、どこまでが 会社か、などという理屈は規模の大きな中堅大企業のトップが考えることだ。 中小零細企業では、365日24時間、会社も個人も一体だ。そのようにシンプル に考えれば、かえって落ち着く。とにかくすべての行動は、会社の成長のため だ。そう思うと俄然元気にならざるを得ないはずなのだ。 ●あとは、行動が元気になるように身体、つまりフィジカルと、精神状態、つ まりメンタルをいかに活性化状態に保つかだ。秘訣、コツは元気な人と付き合 うこと、そのような環境に身を置くこと、元気の出る行動を常に心がけること だ。元気な人と付き合っていると、こちらも元気になる。そういうものだ。会 社も同じ。社長が元気にふるまえば、会社も元気になる。業績が云々と言う以 前に、自分のメンタル、フィジカルにスイッチを入れて点火する。人がどうこ ういう以前に自分のエンジンを全開にする。そうなると会社も必ず元気にな る。