**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第529回配信分2014年06月16日発行 中小企業の経営者が日ごろから備えること その27 〜毎月一定の数の新しい書籍を買って読む習慣をつける〜 **************************************************** <はじめに> ●過去に出版社に在籍していたからではないが、経営者たるもの毎月に一定の 金額を書籍と雑誌の購入に投資するべきだ。最近書籍は1冊が高くなり、 2,000円くらいする。雑誌も、週刊の発行のビジネス誌だと数百円はする。毎 週1冊書籍を買って、毎週のビジネス誌を定期購読していると、おおよそ毎月 10,000円くらいはかかる。年間でざっと100,000円くらいの投資になる。しか し、これくらいの投資で、自分自身がレベルアップできれば、これほど安い投 資はない。自分で年間の予算というか費用の概算を決めておく。 ●成岡は書籍はどうやって選んでいるかというと、そのほとんどはビジネス誌 の推薦図書であったり、新聞の書評であったり、無料で送られてくるビジネス 関係のフリー雑誌の推薦図書だ。日経新聞などは毎週、毎週ビジネス書の売れ 行きランキングを掲載してくれる。夕刊では毎週週末に書評が掲載される。そ れ以外にも、所属している協会からの機関誌、税理士事務所の全国本部から送 られてくる月刊誌の書評など、参考にするべき情報は溢れかえっている。他人 が読んで、これはと思う書籍なら、あまり大外れはない。 ●パッと見て、感覚的に一致したらすぐにアマゾンのWEBサイトで申し込む。 以前は、ビジネス書専門のWEB書店があったが、残念ながら数年前に閉店され た。それ以来、もっぱら書籍の購入はアマゾンで頼んでいる。書店に足を運ぶ こともあるが、これはウィンドショッピングになる。店内をざっと見渡し、ど んな書籍が置いてあるか、ディスプレイはどうか、店員さんの動きはどうか、 POPはどのようになっているか、などを見学するだけだ。しかも、定点観測し ている書店は決まっている。これも勉強のためだ。 <いいなと思ったらすぐに申し込む> ●当たり外れは、そもそもあると割り切る。買った書籍が全部あたりと言うこ とは、まずない。外れも相当数ある。しかし、気にしないようにしている。打 率5割なら上出来と思っている。また、結構内容が気に入った書籍でも、全 ページが参考になることは、まずない。そのほんの一部でも参考になったり、 勉強になったり、何かで利用できれば、これはもう大満足だと思えばいい。全 部の内容が自社や自分にマッチしているなどということは、まずない。ほんの 一部でも参考になれば、2,000円なぞ安いものだ。 ●書籍の一部で参考になった箇所は、それ専用のノートに書き留める。あるい は、コピーして貼り付ける。雑誌は参考になった特集やページを、そのままば りばりと切り取る。あとは捨てる。バックナンバーを以前は保管保存していた が、無駄だと悟って最近では全部捨てることにしている。雑誌のバックナン バーを参考に読むということは、非常に稀だと分かった。以来、場所も取るの で雑誌は取り置くことはしない。書籍は、一応買ったものは数年間は全部置い てある。よほどのことがないと、数年間は捨てない。 ●大事なことは、あまりごちゃごちゃ考えずに、これはいいと思ったら、すぐ に申し込む。最近のWEBでのネット通販は本当に感心するくらいよくできてい て、翌日か翌々日には書籍が届く。精算も簡単で、法人のカードの口座から簡 単に引き落とされる。便利なことこの上ない。これでは書店の売上が減少する はずだ。書籍名や著者が分かっているなら、断然WEBで注文されることをお薦 めする。書店に行くのは、街角ショッピングのようなものだ。どんどん書店の 軒数が減少するだろう。しかし、これも時代の流れだ。 <積ん読だけで意味がある> ●すぐに読まなくてもいい。問題意識、課題意識があって、とりあえず買って みた。しかし、時間が作れないので、積ん読だけになった。それでいいのだ。 買ったという事実を記憶にとどめておくことが大事だ。その書籍を買ったの は、何らかの問題意識があったからだ。読まなくても、その書籍がオフィスの どこかに置いてあるだけで意味がある。書籍とはそういうものだ。すぐに実業 に役立つものは、ほんの僅かだ。そう割り切るべきだ。その書籍の、ほんの一 部が、一行が役に立てば、安い買い物だ。 ●とにかく申し込む。そうすると明日には届く。オフィスの中にその書籍が置 いてあることが大事だ。成岡のオフィスでは、買ったけど読んでいない書籍を まとめて置いておく場所が決まっている。未読の書籍の置き場が決まってい る。そうすると、その書籍は問題、課題意識があって、買ったけどまだ読んで いないのだ。この背表紙のタイトルをずっと毎日眺めることになる。年間3 回、5月の連休、8月の夏休み、12月の年末年始の際にまとめて時間を作って 読むようにしている。そうしないとたまってたまって仕方ない。 ●アマゾンで買うと翌月か翌々月には引き落としになる。まだ読んでいない書 籍は、先に精算が行われている。先行投資このうえない。これは自分の頭の中 にしっかりと刻まれる。おカネを投資したけど読んでいない。償却していない 資産と同じだ。いや、投資したけどその分回収できていない過剰資産と同じ だ。こういう先行投資に関しては、経営者はよく覚えている。だから、いつも 背表紙のタイトルが見える位置に置いておかないといけない。ほら、これだけ 買っても読んでいませんよと、問いかけるようにしていないといけない。 <自分に対する投資と思えば安いもの> ●雑誌にせよ、書籍にせよ、とにかく全部が役立つことはないが、ほんの1行 でも、一言でも、役に立ったらそれはハッピーだと思うことだ。そう割り切る と、俄然気分が楽になる。全部読もうとしなくなる。ぱっと見ただけで、役に 立ちそうな箇所だけを読むようになる。それでいいと割り切ればいい。年間 100,000円くらいだと思えば、そう惜しくない。むしろ大事なのは、不作だっ た書籍にいつまでもじめじめこだわらないことだ。失敗と思ったら、あっさり 引き下がる。これはあかんと思ったら、なるべく早く結論を出す。 ●書籍は置いておくと、いつか役に立つ時がある。だから、簡単には捨てない で書棚に置いておく。結構広いスペースのどこに置くかと言うのは、実はルー ルがない。ランダムに書棚に置くことにしている。ランダムに、適当に置いて おくと、何かテーマがあったときに探す。書棚全体を見て探すので、いやでも 不作の書籍を何べんも見ることになる。100回に1回くらい、この不作の書籍 が役に立つときがある。だから、なるべく捨てないで置いておく。あるいは、 気分を変えて、全然違う時点でもう一度開いてみる。意外と役に立つことがあ る。 ●買うルールと、読むルール。そして置くルール。実は捨てるルールもある。 このように、好き嫌いや感覚的なことだが、一定のパターンを自分自身で決め る。そして、何より投資の決定を行う。これくらい自分自身の成長、会社の成 長のためには安い投資だと思う。どこかで飲めばその場で終わりだが、残る投 資だ。何より活用は自分自身だが、書籍のいいのは時間が経過し、経験を積む と以前と異なる受け止め方ができることだ。そのうちにバイブルのような書籍 に行きあたる。そこまで悩むことで自分自身も成長する。