**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第765回配信分2018年12月24日発行 これからの中小企業経営の重要課題 経営する上での重要なキーワード:その7 〜馬には乗ってみよ、人には添うてみよ〜 **************************************************** <はじめに> ・これは諺だ。古くからの言い伝えで、誰の名言とかではないが、非常に気に 入っているフレーズなのだ。成岡流にアレンジして、「馬には乗ってみよ、牛 には曳かれてみよ、人には会ってみよ」と変形している。まさに、ビジネスは 人と人の出会いなので、偶然のチャンスや機会からいろいろなことが出発する ことが多い。その偶然のチャンスになる前の段階で、入り口でどうもそこに至 らないケースが多い。つまり、馬にも乗らないし、牛にも曳かれない、人にも 会わない。じっとしている経営者の方が多い。 ・馬には乗ってみる、牛には曳かれてみるは同じ意味のフレーズだ。とにかく 目の前に何か案件が来たり、問い合わせがあったり、参加のお誘いがあった ら、まず対応することだ。食べもしない、見もしない、行きもしないで、断ら ない。いったん取り込んで、対応を検討し、すぐに反応する。この、「すぐ に」というのが大切なのだ。スピード感が重要で、のんびりゆっくりやっては いけない。瞬時に対応せよとは言わないが、あまり時間をかけないで結論を出 さないといけない。それも、いったんは前向きに考えるのが正しい。 ・断る理由を探すのではなくて、対応できる方策を考えてみる。まず、会って みるとしてその前に何をしておくのか、どういう情報を入手すればいいか、誰 か自分の周辺にこの人物に関して詳しい人はいないか、などなど事前の準備も 怠らない。そういうことが、出くわした時点であまりエネルギーをかけない で、すっとできる環境を日ごろから作っておかないといけない。そういう場面 になってから、さあどうしようかと段取りをしていたのでは、遅い。遅いと面 倒になって、ことは前に進まない。 <ずっと続く出会いは少ない> ・人には会ってみよ。これは鉄則だ。会う前から先入観を持って、偏見を抱い くのはよくない。最近は、なんでもネットで調べられるから、相当事前に予備 情報は入手できる。個別の人物の情報も、ブログなどで情報発信されている と、いとも簡単に情報はゲットできる。しかし、実際に会ってみると、見ると 聞くでは大違いというのがあるように、意外といろいろな側面がある。公式な 情報もいいが、やはり会ってみたうえでの直感も大事だ。経営者には、この人 物を診る直感も重要な能力だ。 ・会ってみて初めて分かることも多い。過去のキャリア、現在の事業の状態、 今後の抱負などは、なかなか公式のホームページや個人のブログなどではわか らない。こちら側からの質問能力も大事だ。その人の人となりに併せて、マッ チングするテーマや話題を提供できないと、会話が進まない。相当の仕込みが 必要であり、事前の予習が欠かせない。こちら側の引き出しが多ければ多いほ ど、評価の切り口が拡がる。複数の評価項目で人物の人となりを診ないと、一 面的な切り口では難しい。 ・一度お目にかかった人と、その後昵懇になり、お付き合いが続く確率は極め て低い。俗に言う「縁」がある方になる確率は、非常に低いだろう。数字で表 すのは難しいが、おそらく数%もないだろう。たった一回の名刺交換や懇親会 での短時間の立ち話で、その後非常に深い関係になったケースは、おそらくそ の後相当の頻度で会っているはずだ。特に2回目に会うまでにどれくらい時間 が経っているか。意外と早く2回目の面談が実現できたケースでは、結構その 後お付き合いが続いている。 <人と会うのは投資> ・人と会うには、時間を空けないといけない。成岡たちの職業では、人と会っ ていろいろな情報交換をしたりするには、一定の時間を作らないといけない。 じっとしていると、全く情報が入ってこないので、こちらから能動的に仕掛け をしないといけない。何かのお誘いや会合の案内があったら、行ってみようと 思うなら日常業務を早く片付けて時間を作らないといけない。その会合や会 議、寄り合いにどうしても格段の事情があって、参加したいと思えば、万障繰 り合わせていくはずだ。どうでもよければ、そこまでして行かない。 ・これが東京となると非常に敷居が高い。移動に最低でも2時間半から3時間 はかかる。往復の新幹線の車中で仕事ができるとはいえ、やはりこの時間を空 けないといけないのは、非常に厳しい。移動時間を有効に使うのは、ビジネス の鉄則だがそうは簡単にいかない。遠方で人と会うには、費用もかかれば時間 もかかる。まして、外国となるともっと数倍大変になる。時間とは費用と同意 語で、トップや経営陣が時間をかけるということは、相当な費用を投下すると いうことに等しい。人と会うために時間を使うのは、投資と同じだ。 ・しかし、その大半は実を結ばない、あるいはすぐには実を結ばないだろうと 心得るべきだ。ある人と初めて会って、意気投合して急に大きな事業が明日か ら始まることは、まずない。2回目に会って、そこで初めて色々なことがわか り、人となりが理解でき、そして次のステップに進む。その間に、数回のメー ルのやりとりがあり、そこでビジネス感覚が一致するかを品定めする。この時 点で、大半の関係は途切れてしまう。次回の面談の設定が決まらなかったり、 会食の約束が一か月延びたりする。もう、そこで終わっている。 <まず先入観なく人には会ってみる> ・うまく進むときは、意外とばたばたとことが進む。たまたま空いていたピン ポイントの日程で、先方も都合がよかった。そこしか夜に空いている時間帯が なかったのだが、運よく先方も空いていた。そういうケースを「ご縁がある」 と考えるべきだ。特に先方が多忙な方であったり、著名な方であったりする場 合は、本当に運がいいとしかいいようのないケースもある。誰か見えないとこ ろでのお導きがあるのではないだろうかと、変に信じてしまうくらい、うまく ことが運ぶときがある。そういう運やチャンスを逃さない。 ・あまり打算的にアプローチをすることや、商売の雰囲気をぷんぷんさせて付 き合うのも考え物だ。これは、会社対会社でも言えることだ。まず、時間はか かるが相互に信頼関係の醸成に努めるべきだ。いきなり、いくらで売ったり 買ったりの話しにはならない。営業活動でも、いきなり売り買いの商談には入 らないのと同じだ。本当のクロージングの会話は、最後の10分間でいい。それ までは、人間性を売ることに全力を傾けることだ。トップセールスマンは、も のを売らないで自分を売っている。 ・とにかくあらゆるチャンスを逃さないことだ。特に、新しい人との出会いの チャンスは、最大限可能な限り参加し、関わる。いま、お付き合いしている親 しい人、パートナーの方も、ほとんど全員この10年、15年に出会った方だ。一 人一人顔を浮かべて考えれば、非常に稀な珍しい出会いで会った方が多い。意 図して、仕掛けて、準備万端整えて、そして現在の関係になったという人は皆 無だ。まずは、会ってみる。ビジネスは、人と人との出会いから始まると信じ ていればいい。目の前に来た行先の書いていないバスに乗る。