**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第767回配信分2019年01月07日発行 これからの中小企業経営の重要課題 中小企業経営者に勧める7つの習慣:その1 〜道具の習慣〜 **************************************************** <はじめに> ・我々にとって道具を選ぶことは非常に重要かつ大事なことだ。道具とはツー ルであり、仕事を進めていくうえで必須のアイテムなので、簡単にどれでもい いというものではない。職人が道具を選ぶのと同じで、我々も道具を選ぶとき はこだわりをもって選択しないといけない。適当にもらったのをそのまま何も 考えずに使っているというのは、まずい。やはり職人は道具を選ぶし、条件や 環境によって使い分けが必要となる。多くの道具をうまく使い分けることこ そ、プロの職人がなせる技なのだ。どんな道具を使うかが結果を左右する。 ・道具の原則は、同じものを使い続けることだ。ただし、その同じものに至る までには多くのものを試して、試して、ようやくその使いやすい道具に行き当 たる。そこまでは、いろいろと工夫したり、変えたり、試したりする道具選び の旅をすることになる。そして、いったん気に入ったらとことん使い続ける。 何か新しい製品が出て、浮気をしようかと思うこともあるが、やはり使い慣れ たものがいい。いちいち面倒臭くないし、何より手にぴったりくる感触が大事 だ。一度気に入った道具はとことん使い続ける。同じものに愛着を持つ。 ・従って、もし仮にインクが切れたり傷んだりしたら、同じものに替えるの で、予備が必要となる。安い単価のものは、10本程度をまとめ買いする。特に 大学の講義で、都度250枚のレポートを採点し、コメントを書くので赤のボー ルペンは20本くらいの在庫を持っている。在庫が少なくなれば、必ず先行して 補充しておく。一見無駄なようだが、切れたりなくなったときに考えなくても いい。その安心感があるだけで、精神的に大きく違う。さあ、どうしようと思 うだけで、エネルギーが要る。無駄な時間がかかる。調達するのに時間がかか るのは、まずい。 <気に入ったらとことん使い続ける> ・まず、一番日常お世話になる筆記用具類。シャーペン、ボールペン、サイン ペン、蛍光マーカー、万年筆などはこの20年間くらい、ずっと同じものを使い 続けている。シャーペンの芯の太さも決まっている。替え芯も必ず携行してい る。ボールペン類は、必ず赤と黒の2色を別々に使い分ける。誰かにもらった り、どこかから出てきたりという、出合頭のものは一切使わない。代々、気に 入った道具しか使わないので、考えたり迷ったりすることがない。その無駄な 余分な時間を他に回すことだ。 ・環境的には、自社のオフィス、サテライトオフィス、会議所のデスク、そし て携帯するお道具バックには、すべて同じ種類があり、同じ道具を入れてあ る。環境が異なり、違う道具があると、いちいち戸惑う。手は止まるし、ス ピードは当然落ちる。やはり使い慣れた道具だと、意識しないで仕事が進む。 すべて違う道具が置いてあると、非常にストレスがたまる。よって現状だと最 低でも4か所に同じ道具が要ることになる。費用は大したことはない。要は心 がけの問題だ。ルーズになると、とことんルーズになる。同じものをきちんと 在庫する。 ・筆記用具以外の道具、文具類も徹底的にこだわる。定規、はさみ、カッ ター、ホッチキスなどの周辺文具も、定番品を決めておき他の道具は使わな い。仮になくなったり失ったときは、以前と同じものを探して買ってくる。気 に入って、いいと思ったらとことん付き合う。細かい文具類はいろいろとオ フィスに置いてあるが、ほとんど流行を追わないし、同じものを使い続ける。 面白味がないかもしれないが、その方が時間の節約になるし、不要なことを考 える時間が要らない。ムダをそぎ落とし、徹底的にこだわる。 <特殊なものは予備を持つ> ・カバンなども同じものを使い続けている。どの位置、どのポケットに何を入 れるのかということも、暗黙の決まりがあり、ルールがある。朝の出かける前 の準備の段階では、自然の流れができているはずだ。手順が決まり、道具が決 まり、置き場が決まり、準備の段階で要らぬエネルギーをかけないで準備が運 ぶようにしてあるから、ほとんどミスがでない。うっかりというミスの可能性 が全くないようにしておく。太平洋戦争の日本海軍のように、出航する前に徹 底して場面を想定し、シュミレーションしておく。一度出たら戻れないから。 ・道具だから、長い年月使っていると傷んでくる。急に傷んで使えなくなると 困るから、必ず予備はワンセット買っておく。カバンは必需品だから、急にダ メになると困るので、1個予備がしまってある。ところが多少特殊なカバンだ から、WEB通販では掲載されていない。売っている場所もわかっているので、 ついでに買っておく。相当大きいので、愛車のロードバイクの自転車では持ち 帰れない。買って持ち帰ることができるタイミングを外さないように、常に移 動の手段と時間をウォッチしている。これくらい同じものに執着すると、逆に 道具に愛着がある。 ・道具で一番やっかいなのが、実はパソコンなのだ。何がやっかいかと言っ て、Windowsが新しいバージョンに更新される。簡単な更新はまだしも、大き なバージョンの切り替えがあると、そのうち新しいバージョンの機器に買い替 えが必要となる。まあ、データのお引越しのようなものだが、これがなかなか やっかいだ。今まで何気なく使っていたソフトもお引越しになると、うまく作 動しないことも多い。いろいろな設定もやり直すことになる。古いバージョン で作っていた資料が、崩れることもある。便利なものほど、代えるときは面倒 だ。 <道具を選ぶ目利き力をつける> ・オフィスに2台、経理用に1台、外出用のノートパソコンが1台と合計4台 あると、それぞれ買った時期も違うので、少しずつずれて買い替えを行わない といけない。時間と気持ちに相当余裕のあるタイミングでやらないといけない ので、非常に神経を使う。だいたい、毎年5月の連休、8月のお盆、年末年始 の3回のうちのどれかをこの入替の時期に充てている。今年の年末年始は、別 の用件があり入替は今度の5月の10連休を充てようと思っている。年が明けた ら機種を選んで準備をしておかないといけない。 ・中小企業への経営コンサルティングという当社の仕事はサービス業だろう が、見える実態はないので信用信頼が一番重要だ。そのためには、いい道具を 選ばないといけない。品質やスピードが落ちてはいけない。弘法筆を選ばずと いう諺もあるが以前ある工務店の社長さんから、道具はいいものを使わないと ダメですよ。結局、安物を使うと高くつきますよ、と言われた。確かにその通 りで、40年以上社会人経験をしたが、いい仕事をしようと思うなら、道具を選 ぶ目利き力が要る。それは日常の努力がないとできない。 ・手帳に始まり、いろいろな道具を極めつけに使いこなす術を会得する。ま あ、いいかという妥協はしないほうがいい。いったんこの自主ルールが歪む と、途方もなく全体が歪んでくる。原因は簡単だ。横着に手を抜くからだ。道 具を適当に出会い頭で使っていると、執着がない。やはり、何でもそうだが仕 事や道具にこだわりがあり、愛着がないといけない。使ったら元の位置に戻 す。在庫が少なくなったら、必ず補充する。いい道具は、100年使うことがで きる。それくらい、道具に執着し、愛着を持ち、とことん使い続ける。そうい う道具を選ぶことが、まず第一の仕事だ。