**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第773回配信分2019年02月18日発行 これからの中小企業経営の重要課題 中小企業経営者に勧める7つの習慣:その7 〜読書の習慣〜 **************************************************** <はじめに> ・もともと15年間出版社の経営に携わっていた関係上、雑誌や書籍に関しては 相当詳しい。当たり前といえば当り前なのだが、やはり業界に在籍していた者 と、そうではない者とでは見方が異なる。業界にいた者としては、昨今の活字 離れは嘆かわしい。電車に乗っていても、大半の人はスマホをいじっている が、ほとんどがゲームをしたりLINEを読んだりしている。一部大きな画面のタ ブレットで電子書籍を読んでいる人もいるが、それは珍しい。最近電車の中で 雑誌や書籍を読んでいる人を、ほとんど見かけなくなった。 ・スマホやタブレットの画面でスクロールしながら読むのは、どうも慣れてい ないので肩が凝る。少し戻ろうと持っても、ずっと逆にスクロールしてどこに それが書いてあったのかを探すのに時間がかかる。新聞でもそうだが、ぱっと 開けてまず全体を俯瞰して、それから細かい記事を読む。この全体を俯瞰す る、大きく見ることができない。ひとつひとつの細かい記事をずっと追いかけ て読んでいって、終わったらまた次のブロックに進む。便利と言えば便利なの だが、一覧性はない。これがどうも馴染めない。 ・書籍や雑誌はおカネを出して情報を得るものだ。出版社にいた経験から言う と、人からもらった本や雑誌は読まない。回覧で回ってきた雑誌は読まない。 やはり、自分のふところを痛めて買った書物や雑誌は、真剣に読む。投資した ものに対しては回収の気持ちが働くから、何か一言、一行でもいいからゲット したい。そう思うのは人間の常で、ただでもらったものは粗末にする。目上の 人や、何かの記念日の想いでの品なら大事にするが、それ以外で無料でもらっ たものは、どうも身に着かない。 <書棚には無作為に置く> ・何を読むかと言う選択は非常に悩ましい。昔は書店によく足を運んで、ビジ ネス書の棚を時間をかけて選んで歩いた。昨今は時間がなくなり、選んでいる 暇がない。仕方ないので、いろいろな新聞や雑誌の書評で紹介されたものを 買っている。大きな外れはないが、書評ほどの内容ではないこともあるし、期 待外れもある。しかし、それも仕方ないと割り切って、1行でも1字でも何か 役に立つことが書いてあったら、それで満足することにしている。他人の推薦 で買うのだから、たまの外れは仕方ない。 ・これはと思える書評が書いてある雑誌や新聞は、その場でびりびりと切り取 る。そして、休日などの時間のあるときにアマゾンで注文する。早い時は翌日 に送られてくるときもある。書籍はこういう選択方法で、ほとんど最近ではア マゾンで購入する。だいたい、月に数冊は買うから、費用もおおよそ1万円は くだらない。必要経費だと思って割り切っているし、安いものだと思う。到着 して、ざっとめくって期待値通りならなるべく早く読むし、少し外れの場合は 近い場所に置いておく。読む気になったときに読めばいい。 ・読んだら書棚に入れておくが、書棚に並べる決まりはない。読んだ順番に適 当に並べるだけだ。探すときに時間はかかるが、探すときには新しい発見があ る。ああこういう本も買っていたんだと、改めて思うことが多い。もう忘れて いた書籍を発見し、非常に感動した覚えもある。ランダムに書棚に並べる効果 は、ときに1冊を探すのに時間はかかるが、棚卸しをするつもりでやってい る。以前に投資した書籍が、蘇る場合もある。時間をかけても効果がある。そ れと、最近分類できないようなジャンルの本も多い。 <雑誌は早く読む> ・雑誌は毎年浮気している。定番でずっと定期購読している雑誌は3種類ある が、それ以外は1年間定期購読して、次の年は他の雑誌に切り替える。特にビ ジネス誌のいくつかは毎年違う雑誌を1年間定期購読する。そして、よく書店 に立ち寄り、いろいろな雑誌を立ち読みする。来年からはどれにしようかと、 下見をする。月刊誌や週刊誌のビジネス誌だと年間で2〜3万円くらいの投資 になる。書籍の20冊分くらいだから、多少慎重に選ぶのは仕方ない。少し切り 口の異なる雑誌を数誌読んだ方がいい。 ・雑誌は基本的に残さない。バックナンバーを取り置く人もあるだろうが、雑 誌は鮮度が命なので、一度読んだら読み返すことはまずない。必要なページは その場で破って持ち帰る。よく電車などでびりびり破くと、隣に座っている人 がびっくりすることもある。そして全部読んだら駅のゴミ箱に捨てる。なるべ く、移動の往きに読んで荷物を軽くする。そして帰社して必要な部分は、ス キャナーで取り込んでデータ化してタイトルを付けて置いておく。あまり復活 することは多くないが、それでもたまに講演のネタに使うこともある。 ・ビジネス誌は最低2種類読むことにしている。読者対象が異なるので、違う 雑誌を読んだ方が広角的に情報をゲットできる。あまり深刻に読むと時間がか かるので、まずざっと最後まで目を通す。そして最初に戻って興味ある記事だ けを飛ばし読みする。おカネを払ったから、全部を最初から最後まで読まない と思うと、それだけで重たい。雑誌は鮮度が命だから、早く読んで必要な部分 だけをゲットする。鮮度に関係ない記事が多い社会科学的な雑誌は、あまり 焦って読む必要はない。内容もずっと使えるものが多い。 <読書は投資と割り切る> ・年間にどれくらい雑誌と書籍に投資する、つまりおカネをかけるのかをおお よそ決めておく。収入に対する割合でもいいし、毎月の平均的な絶対値の金額 でもいい。例えば、定期購読の雑誌を3誌読むとして、おおよそ年間購読料が 1雑誌2万円くらいか。合計で6万円。それに書籍が毎月5000円として年間で 6万円。合計年間で12万円。平均すると毎月1万円くらいになる。これを投資 と考えれば、非常に金額的には少ない。たった月間に1万円くらいで、相当な 充電が可能だし、新しい情報がゲットできる。 ・新しい情報は雑誌で、ずっと使える内容のものは書籍で。少し深く掘り下げ て勉強しようという分野も、基本は書籍に依存する。外れの確率を少なくする ためには、周辺の似たような書籍を図書館で借りまくるという方法もある。地 域に分散してある公営の図書館を適宜利用して、似たような書籍を10冊借りま くる。選んでいると時間がかかるので、ざっとタイトルを見て選ぶ。いちいち 中味を確認していると時間がかかるので、直感で選んでみる。持ち帰り、片っ 端から斜め読みする。そしてご推薦の1冊を選んで買うのだ。 ・とにかく欲しいと思ったときが買い時。すぐに読まなくてもいいから、アマ ゾンで注文する。もちろん外れもあるが、気にしない。外れは外れで仕方な い。いつかは役に立つだろうと割り切ればいい。そばにあるだけで意味がある し、他の本を書棚で探したときに手に取って読む場合もある。大事なことは投 資することだ。これだけの情報でこの金額なら安いと思うことだ。勉強や充電 のために投資するのは、自分のための投資だ。これをケチってはいけない。必 ず回収できる投資なのだ。