**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第815回配信分2019年12月09日発行 70歳まで現役で活躍できるためのシリーズ:第2回 〜読書のススメ〜 **************************************************** <はじめに> ・前号では新聞を読むことについて書いたので、今週は「読書」。読書と言う となんだか非常に重たい感じがするが、ここでいう読書はほんの軽い気持ちで 書籍と向き合うということだ。まず、どんな本を読むかに関しては、成岡はそ のほとんどを新聞か雑誌の書評欄から選択している。日経新聞を始め多くの新 聞や、定期購読の雑誌、無料で送られてくる各種の媒体などに掲載されている 書評欄で紹介されたものから選んでいる。そのほとんどが新刊やベストセラー に近い書籍なので、ときどき書店にふらっと立ち寄って、その書籍を手に取っ て、ぱらぱらと読んでみる。そして、気に入ればAmazonで購入する。 ・昔は書店に立ち寄ってほとんど自分で選んで買っていた。最近は時間がもっ たいないというのもあるが、書評は一定レベルの人が読んで推薦してくれるか ら、ほとんど空振りがなく間違いない。特にビジネス系の雑誌などでの書評 は、かなり正解に近い。その書評欄を切り取って置いておき、どこかで思い出 した頃に注文する。特に、毎月定期刊行物のオフィスレターを発行しているの で、そこに必ず2冊の新刊を紹介している。そのネタも探さないといけないの で、書評欄を熟読するのは職業柄必須なのだ。とにかく目に着いたら、まず注 文するか書店で手に取ってみる。行動することが大事なのだ。 ・毎月新刊書を2冊自社の機関誌で紹介しようと思うと、結構いろいろな媒体 や新聞などに目を通しておかないといけない。そして、深く考えないでそのと きの気分で注文することにしている。ただ、あまり高額の書籍は買わない。上 限は2,500円まで。3,000円以上する書籍は、一度どこかで確認してからにして いる。いずれにしても、職業柄毎月一定の金額は必要経費であり、投資として 使うことにしている。これが蓄積になって将来何かの役に立つかもしれない。 いま、どうしても必要なものより、少し先に必要だろうと思われるものを中心 に選択している。足下より、近未来だ。 <買ってもすぐ読まない> ・Amazonで注文して、近くのコンビニで受け取るという便利なサービスがあ り、いつもそれを利用している。1冊、2冊だとかさ張らないし、軽いし、カ バンにも入る。24時間いつ行っても受け取ることができるのは、我々のような 職業人間にとってまたとない便利な機能だ。昔のように必ず誰かが受け取らな いといけないということはない。また、最近では宅配ボックスという便利なも のもある。いずれにしても、受け取ってからすぐには読まない。よほど緊急で 買ったものは別だが、まず箱から開けてしばらく置いておく。こういう仕掛の 書籍は所定の場所が決まっていて、必ずそこに置く。 ・その場所にあるのは、注文して受け取ったが読んでいない書籍だ。背表紙を 必ずこちらに向けて、できれば立てておいておく。常に視界の範囲内にあり、 目線をそちらに向けると仕掛の書籍の背表紙が確認できる。いつでも、時間さ えあれば読める状態にしておけばいい。いますぐに要る書籍ではないことが多 いから、置いておいても問題ない。大事なことは、必要だと思った時にすぐに 買っておくことだ。また、そのうちにと思っていても、おそらく二度とその書 籍を買うことはない。思いついた、思い立ったときに買うのが、一番正しい。 以前に在籍していた出版社にいたときからの教訓だ。 ・仕掛から抜けて一読した本は、書棚に入る。書棚には多くの書籍があるが、 入れる場所は決めていない。いわばランダムに入れて規則性はない。最近は ジャンル別に分類できない業際的な内容の書籍も多いので、特に無理には分類 しないで空いているところに押し込むようにしている。探すときに面倒だが、 意外とこれが有効なのだ。本を探すときに書棚を一通り全部眺める。そうする と、意外な本を見つけたり、もう一度読んでみようと思う本に出合ったりす る。買ったのを忘れていた本もあり、買ったことを忘れて2冊購入した書籍も ある。意外な発見があり、書棚をランダムにすることは意義がある。 <座右の書を> ・書籍は一度買ったら滅多に捨てないが、雑誌は一度読んだらほとんど捨て る。必要なページは切り取って置いておくが、これも時間が経つと新聞の切り 抜きと同じで、ほとんど定期的なチェックで捨てることになる。よほど大事で 重要な記事は、PDFにしてフォルダーにデータで収容する。月刊誌は2誌、週 刊のビジネス誌は1誌定期購読している。ときどき、浮気して少し異なる雑誌 を購読することもある。雑誌は鮮度が大事なので、滅多に取り置きすることは ない。面白いテーマの雑誌を発見したら、MOOK形式が多いので、これは買って おく。とにかく雑誌はさっと読んでためないことだ。 ・読書は教養であり、趣味ではない。よく読書が趣味と書かれていることもあ るが、これは必須の教養だろう。70歳まで現役で稼働するには、教養を積んで おくことが必要だ。ハウツーものもいいが、歴史などはビジネスに必須の教養 として、特に必要だろう。真剣に読むより、まずは流して読むことだ。おおよ そ何が書いてあるか、この内容ならあまり必死になって読む必要がないか、そ れを判断すればいい。すべてを網羅して完璧に読み込むより、何となくわかっ たレベル感で読むのがいい。もし、どうしても深く読みたいなら、もう一度読 み返すことだ。 ・読書は教養だから、座右の書をいくつか作っておく。ジャンルごとに1冊あ ればいい。それはできれば手元に近いところに置いておく。その背表紙をみた だけで、何となく心が落ち着くものだ。年末年始、5月の連休、8月のお盆休 み、海外出張の飛行機の中などで、読み返してみる。書籍というものは、読ん だ時期、環境、タイミングで、いろいろと受け止め方が違う。30代で読んだ時 と、40代で読んだ時と、50代、60代で読んだときと、受け止め方が異なるもの だ。そのとき、そのときで、置かれている環境、立場が違うので、意外と内容 が新鮮に映る。座右の書とはそういうものだ。 <投資は回収できる> ・70歳まで現役で働くには、読書という教養は欠かせない。欠かせないと悟っ たら、どのように読書と向き合うかを自分なりに決めることが大事だ。ひとつ の分野を徹底的に深堀するのもいい。テーマを決めて研究的に同じような書籍 を集めてみるのもいい。海外のある国に関する書籍を集めてみるのもいい。ス ポーツのある分野に執着するのもいいだろう。とにかく、自分がやっているビ ジネスに何らかの好影響を与える読書術でないといけない。一番まずいのは、 適当に買って適当に読んで、適当に処分する。そういう中途半端な読書は、ほ とんど身につかない。身につくには、それなりの努力が要る。 ・現代ではNETやWEB、スマホなどで簡単に情報がゲットできる。出先で色々な ことを調べるには、本当に好都合だ。しかし、じっくりと腰を落ち着けて文字 と向き合うという行動は、実はほとんどしていない。特に若い人はスマホの画 面には向き合うが、書籍の文字にきちんと向き合うことは滅多にしない。有益 な書籍にきちんと向き合って、きちんと読んで、きちんと理解するという行為 は、脳細胞の活性化に大きな効果を及ぼす。また、いい文章に出会うことは、 自分自身の引き出しを多くし、表現力が豊かになる。人と会話することも、人 前でしゃべることも、引き出しの多さは武器になる。 ・まずは行動してみることだ。行動とは、書店に足を運んだり、書評を読んだ りして、書籍に投資をすることだ。そして、すぐに回収しようと考えない。い つかは、この自腹を切って買った本が役に立つ。背表紙をこちらにむけて書棚 に並んでいるだけでも、何となくわかったような気分になる。そして、それは 何かの折に役に立つ。たった1行でもいい。これだと思える文章や表現に当 たったときに、その投資は回収できたと思えばいい。全部のページが役立つわ けではない。そう思えば気が楽になる。書籍と向き合うのが楽しくなる。そう なると、70歳まで使えるように脳細胞はどんどん活性化するはずだ。