**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第821回配信分2020年01月20日発行 70歳まで現役で活躍できるためのシリーズ:第6回 〜いつまでも社会とかかわる〜 **************************************************** <はじめに> ・70歳まで現役で働くには、何らかの形で社会とのかかわりをきちんと保って いないといけない。ここでいう「社会」とは単に会社ではない。会社も確かに 社会の一員ではあるが、もっと広く大きな意味での社会と考えたほうがいい。 広いという意味は、住んでいる地域、所属している団体などをすべて含む。会 社に所属しながら、別の位置づけがあり、複数のポジションがあるのが好まし い。特に、定年近い人は現在の所属がなくなったときに、すべてを失ってしま う可能性がある。そうなると、次に居るべきポジションがなくなる。毎日が日 曜日になり、目標が持てない。目標の持てない人生はつまらない。 ・70歳まで現役で働きながら、同時並行で別の社会とのかかわりを作っておく 努力をしておく必要がある。時間のすべてが仕事だと、それがなくなった途端 にすべてを失う。そうならないように、現役時代から別の意義目的を見出し、 現在所属している組織と異なる団体やグループにかかわっておかないといけな い。では、そうするにはどうすればいいだろうか。まず、やるべきことは何事 にも興味を持つこと。関心を持つことだ。世のなか、社会で起こっている現実 の出来事は、すべて自分に関係があると思うことだ。すべて関係があるとなる と、子細なことも見逃さない。新聞も細かいところまで、とことん読むように なる。 ・成岡の場合なら、近畿地方、京都府、京都市、北区、上京区などが近隣のエ リアだ。市民新聞も、毎朝の新聞も、書いてあることはすべて自分に関係ある と思えばいい。読み飛ばす記事もあるだろうが、関心のある小さな記事も見逃 さない。時間をかけるより、さっと斜め読みでもいいから、すべてに目を通す ように癖をつける。政治であろうが、経済であろうが、社会的なできごとであ ろうが、文化行事であろうが、スポーツであろうが、とにかく小さなことでも 興味を持つことだ。関心を示すことだ。すべて自分に関係あると思えば、小さ なことでも見逃さない癖がつく。 <いくつかのコツがある> ・社会とのかかわりをキープするコツは、頼まれたことを断らないことだ。何 かを頼まれることは、頼んだほうは引き受けてくれることを期待している。そ の期待を裏切らないことだ。結果は期待ほどでない場合もあるが、それは気に しない。まずは、何でも引き受けてみる。引き受けてから、どうしようかと考 えればいい。困ったときの誰々さんのように、何かの折に名前が出るように日 ごろからまめに活動しておけばいい。それには、とにかく頼まれたことは何で も引き受ける。そういう評判や噂が立つと、人が寄るようになり、声をかけて くれる頻度が格段に上がるはずだ。そうなると、自然に情報が集まるようにな る。 ・宴会の世話役や幹事を積極的に引き受ける。イベントのお世話係をする。企 画を考える。一番ダメなのは、参加だけすることだ。参加だけでは、大勢いの 中の一員で終わる。少なくても主催者側に回るようにしないといけない。参加 だけするのと、運営側に回るのとでは、大きな違いがある。当然得るものも異 なり、運営側に回れば数倍の結果が期待できる。また、その時に金銭的なメ リットを優先しないことだ。まず、先におカネを使って、戻ってくるのはその あとだ。大丸下村家の家訓のように、「先義後利」が大事なのだ。先に義理を 果たして、それから返ってくるリターンはあとの話しだ。 ・次に大事なのは仲間をたくさん作ることだ。会社のかかわりが薄くなると、 途端に友人関係が細くなる。在籍中から、ほかの人脈作りに精を出さないとい けない。人脈とは、何も名刺の数が多いことが人脈ではない。本当に困ったと きに力になってくれる外部の人がどれくらいいるか。現在所属の会社のバック があるから付き合っている人が、実はほとんどなのだ。その肩書、立場、ポス ト、権力がなくなったとき、周囲の人はそっと離れていく。見事なくらいに、 潮が退いていくごとく静かに誰もいなくなる。そうなってからでは遅いので、 現役時代から将来のことを考えてネットワークづくりに励むことだ。 <若い人とのかかわりが大事> ・その際に大事なことは、打算で動かないこと。先義後利の精神で、とにかく アウトプットに徹すること。自分が役に立つなら、何でも引き受けて汗をかく こと。周囲が困っている、難儀していることに積極的に飛び込むこと。自信が なくても引き受けてやってみること。少々の費用の先払いは当然と心得るこ と。そういう風にしようと思うと、少々時間の余裕、おカネの余裕、気持ちの 余裕がないと、そのような態度行動には打って出られない。ぎりぎりでやって いると、隙間もないし余裕もない。だいたい、感覚的には20%くらいの隙間が あるといいのではないだろうか。1週間でいえば、その中に1日の余裕が欲し い。 ・いろいろなチャネルで社会とのかかわりを作り、それを育て、継続する努力 を怠らない。家庭の事情やいろいろな出来事、体調不良などで一時期停滞し、 頓挫することもあるだろう。それはそれでいいと割り切ることだ。不調の時 代、時期もある。決して長くは続かないと楽観的に思うことだ。人生にはアッ プダウンが必ずある。成岡のように、大病を患い、会社が倒産し、自宅が他人 の手に渡る寸前まで追い詰められた経験があると、どんなことにも驚かない。 開き直ることもできるし、こけてもまた歩くこともできるだろう。社会とのか かわりを切らさないで、継続するには、あまり環境に左右されないことだ。 ・そういう意味では、身体を動かすグループに所属すると、年齢に関係ない ネットワークができる可能性が高い。あまり同世代で固まると、一斉に同じ時 期に同じような状況になる。同級生での同窓会もいいが、成岡は昨今同じ年齢 ばかりの集まりにはあまり参加していない。同じような話題になり、同じよう な環境をお互いに慰めあうことになる。やはり元気をもらおうと思えば、若い 年代の人たちと交わることだ。年齢を重ねることで、経験を積むことはできる が、新しいことを吸収するには自分より若い人たちと交わる機会を持つことが 大事だ。10歳、20歳年齢が若いと発想も若くなる。刺激がある。 <自分の都合で動かない> ・70歳まで現役で働くには、社会とのかかわりを継続しておかないといけな い。それを70歳くらいから感じて、いろいろなことを始めても手遅れになる。 50歳、60歳くらいから意識していろいろと準備して、行動しておかないと間に 合わない。急にいろいろなことを始めても、準備が整っていないと難しい。お カネをかけることより、時間が必要だ。いろいろな経験を積んで、いろいろな 人と、いろいろな関係を構築することが大事だ。すべての人間関係が良好にい くとは限らない。マイナスのことも起こるし、後ろ向きのことも多くある。逆 に考えると、プラスになることのほうが少ない。そう考えると、すぐに始める ことだ。 ・充電することも大事だが、周囲にプラス効果を振りまくことが大事だ。もう らより与えることだ。出し惜しみしてはいけない。期待以上の成果を出せば、 自然といろいろな情報、いろいろな人、おカネが集まってくる。結果的に、売 り上げを伸ばそうとか、利益を挙げようとか、そういう思惑で動くと結果はよ くない。人間の行動は、ときとして原理原則と逆のことをする。ゴルフで言え ば、真っすぐ飛ばそうと思うと曲がる。野球でいえば、ヒットを打とうと思う と空振りする。成功したビジネスの原因を解析しようと思っても、わからない ことが多い。勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしなのだ。 ・社会とのかかわりも自分にリクエストが来ている間に、いろいろな関係を構 築しておく。時間が経過して、こちらの都合で行動しても先方の意向と一致し ない。自分の都合で動いてはいけない。すべては自然体で、相手のリズムに合 わせて行動することだ。自分の都合はその次だ。だいたい失敗する行動は、す べて自分の都合で動いている。ビジネスも、自社の売上と利益を中心に考える と、おおよそ失敗が多い。近江商人の三方よしの精神とは非常に大事なビジネ スの原点を表している。社会とのかかわりを切らさない。それをずっと考えて 行動していると、自然と周囲からのリクエストが舞い込んでくる。断らないこ とだ。