**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第822回配信分2020年01月27日発行 70歳まで現役で活躍できるためのシリーズ:第7回 〜積極的に外に出る〜 **************************************************** <はじめに> ・70歳まで現役で働くには充電が第一だ。充電にはいろいろな方法があると思 うが、最も大事なことは外部から刺激を受け続けることだ。この外部からの強 い刺激の結果、脳が活性化しいろいろな新しいことが受容できる空間ができ る。新しいことは新しいことを受け入れる場所が作れないといけない。古いも う使わないドレッシング山ほど冷蔵庫の奥にあると、邪魔になるし冷却効果が 落ちる。古いものをどんどん捨てて、新しい刺激的なものを受け入れるには、 積極的に外部に出かけることが必要だ。同じ場所でじっとしていると、同じ景 色を毎日見て、同じ人と話していると、変わらない。 ・国内でもいいし海外でもいい。まずは国内で考えると、とにかく自分の会社 や組織の外に出て活動することだ。なるべくそういう外部に出かける業務に携 わるように努めることだ。社内に閉じこもって、社内で完結する業務だと、広 がりがない。お山の大将で終わってしまう可能性がある。営業や開発の業務だ と外部の人間と接触する機会が多くあるだろうが、社内的な間接管理部門だと 社内のサポート業務が多いので難しい。そういう場合は、敢えて社外での広が りのある場面に出ていかないといけない。そのためには、自ら自腹を切って費 用と時間をかけて投資をしないといけない。 ・まず、残念ながら日本国内なら東京に年に数回は出かけることだ。かくいう 成岡も、最近ではなかなか東京に行く用事をうまく作れないが、無理をしてで も年に数回機会を作る。京都からなら片道2時間少しで行ける距離だから、極 端に言えば日帰りでもいい。費用と時間がもったいないと思うなら、少々きつ いが往復深夜バスという手はある。23時に京都駅烏丸口から出発するバスに乗 れば、翌日の早朝には東京に到着する。その後着替えとリフレッシュを兼ねて 行きつけのサウナに行って、09時からは活動できる。帰途も23時の最終に乗れ ば、翌朝の7時には京都駅に着く。 <目的をもってでかける> ・旅行もいいが物見遊山での慰安旅行はもう少しあとに回して、70歳までは見 聞を広め仕事の役に立つ活動でないといけない。つまり、何か業務上の目的を もっての行動だ。単に温泉につかっておいしいものを食べて、リラックスして 帰るというのは年に1回くらいにする。大半は仕事の目標を作って、それをク リアーするために費用と時間を投資する。やはりどんな外出でも、いったん出 かけると相当の費用はかかるはずだ。貪欲にいろいろなものを見たり聞いたり の見識や見聞を広める活動のために出かける。そうするには事前の調査や下調 べ、情報収集が必要だ。特に遠方になればなるほど情報が薄くなる。 ・東京のビッグサイトの展示会、各地で開催のビジネスイベントなどをこまめ にチェックしてなんとか日程の都合をつけて出かける。出かけるには、おカネ より時間の都合が難しい。せっかく行ったのだから、周辺の地域をできるだけ 見て回る。県庁所在地もいいが、少し足を伸ばして地域のビジネスで有名な街 を訪れてみる。ビジネス誌や新聞でこまめに日常観察を怠らない。あの方面に 行ったら、あの場所に行ってみようと、日ごろから心がけておかないといけな い。60歳くらいまでは、とにかく話題のところに出かける。60歳を超えたら テーマを絞って、地域を限定して深く狭くその地方を研究する。 ・京都府の場合は、京都市以外の場所を1か所決めて、そこをとことん研究し てみる。テーマを決めて、和束ならお茶、与謝野なら絹織物、美山なら食材な ど、それぞれの地域ごとのテーマを定めて深く掘り下げて地域とビジネスのか かわりを研究する。しばらく数日そこに滞留して、地元の人と交流する。少々 遠方の土地まで行けるなら、近隣の県でもいい。京都なら福井県などは、地域 産業の格好の題材がある。鯖江の眼鏡フレーム、越前市の和紙、包丁などだ。 伝統産業が近代化を遂げて新しい価値を提供しているビジネスが地方には結構 多い。それを現地で見て、聞いて、肌で感じるだけでも勉強になる。 <海外にも行ってみる> ・海外はもっとエキサイティングだ。可能ならニューヨークやヨーロッパが嬉 しいが、時間と日程の都合でそうはいかない。可能な範囲は、3泊4日くらい で東南アジアが限界か。それでも、成田や関空から飛行機で国外に出ただけで 気分が変わる。異国の地の飛行場に降りただけで緊張感がある。まして、知ら ない初めての異国は非常にエキサイティングだ。数年前から9月上旬に少し時 間が作れることが分かったので、それまで10年以上ご無沙汰だった海外出張を 企画して、出かけている。観光旅行ではないので、ある程度目的を明確にし て、事前にJETROの方にレクチャーを受けて資料を集めて行くことにしてい る。 ・3年前はベトナムに2回、シンガポールに1回、2年前は台湾に行った。ベ トナムは今後日本との関係がもっと深くなり、人の交流や技術の移転が進むと 踏んだので、一度現地を実際に見て、何がどの程度なのかを知りたかった。や はり、見ると聞くでは大違いで、実際の経済成長を目の当たりに見て、今後10 年で相当な成長が見込まれるだろうと感じた。特に国産の自動車の製造に乗り 出していて、日本の昭和40年代の前半くらいの勢いを感じた。サイゴンとホー チミンだけだったが、縦に長い国なので、物流が課題だろう。鉄道も未発達で 主にトラックや運河の船舶での物流が主体だ。 ・シンガポールは世界で最も進んでいる国、都市であり、その最先端の雰囲気 を感じることが主体だった。また、奮発して最高級のホテルに一度泊まってみ たかった。カジノや屋上のプールで有名なホテルで、客室数が1000室以上あ り、そのオペレーションにも興味があった。台湾は知己の企業が食品の台湾へ の輸出を考えており、簡単な市場調査を兼ねて高雄と台北を訪ねた。帰途に台 風の影響で関空が使えなくなり、大枚を叩いて予定外のビジネスクラスでの成 田帰りとなった。海外に行くと、このようなハプニングは日常茶飯事だが、こ のときはさすがに日本に当分帰れないかと顔面蒼白になった。 <徹底的に現地を歩く> ・ことほど左様に、国内であれ海外であれ、相当以前から準備をして、情報を ゲットし、関係者に取材して、何を見てくるのかを明確にしないといけない。 そうでないと、単なる観光旅行になってしまう。日程さえ合えば、いろいろな 支援機関や団体が主催するツアーに参加するのもいい。結構見たいところを見 ることができるし、参加者同士が親しくなり新しい人間関係もできる。成岡も 以前いた出版社時代には、当時流行りかけたテレマーケティングのアメリカ海 外視察ツアーに参加したことがある。ツアーはこの1回のみだったが、40年の 社会人生活で、ビジネスで海外に出かけたのは10回以上になるだろう。 ・海外に行くなら、1年先くらいの日程は固めておかないといけない。おおよ そ9月か10月に5日間くらいは出かけるつもりで、今から段取りをしておく。 国内の出張や旅行なら、突然思い立っても行けないことはないが、あまり思い 付きのお出かけは出かけただけで終わってしまう。どこに行くのか、何の目的 で行くのかを明確にして、必ず何かをゲットして帰ると意思を明確にする。時 間は少々短くてもいいが、得たいものをはっきりしておくと結果もわかりやす い。さらに、現地に行ったら徹底的に現地を見て回る。現地のタクシーの運転 手さんにいろいろ教えてもらう。これが非常に貴重な情報が得られるポイント だ。 ・地元のお店のご主人や、タクシーの運転手さんなどの現地情報は生きてい る。いま現実に目の前で起こっていることをリアルに教えてくれる。流行って いる店、よく売れているもの、人気のスポット、話題の食べ物、現地の特徴、 観光客がよく行くところ、一番人気のホテルなど、聞けばどんどん教えてくれ る。そういうお出かけをしたいなら、なるべく一人で行くことだ。現地で自分 の好きなように動くには、他人がいると気を遣う。一人なら身軽だが、二人に なると急に重たくなる。60歳以上になったら、会社の関係を離れてなるべく一 人で行動することだ。誰にも頼らず、自分の企画で、自分の足で行動すると見 えるものが変わってくる。