**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第870回配信分2020年12月28日発行 年末特別号 〜この1年を振り返る〜 **************************************************** <はじめに> ・今回はいつものコロナ関連のシリーズから少し外れて、2020年の1年を振り 返ってみようと思う。例年なら政治や経済の出来事を振り返り、反省などをす るのだが、今年はもう「コロナ感染」以外のキーワードが出てこない。1月に 中国の武漢で発生した新型コロナウィルスが全世界に拡散し、日本に襲来した のは2月下旬のクルーズ船で事件になったときからだ。それ以降の出来事に関 しては、ここで多くを語る必要がないくらい、みなさんの脳裏に焼き付いてい るはずだ。そして突然の学校閉鎖。緊急事態宣言の発出。東京五輪の延期決定 など、次から次へと前代未聞の出来事が連続した。自分自身は、2月の3連休 に札幌に出張したが、ぎりぎりセーフだった。その後はしばらく在宅勤務にな り、多くを自宅で過ごした。 ・4月からのビジネススクールの講義も、遅れて6月からリモートで始まっ た。初めてZoomなるソフトで10数名の受講生に遠隔での講義を行った。初めは 慣れないので、いろいろとトラブル、アクシデント、失敗があったが、何とか 15回の講義を乗り切り、レポート採点が無事に終わったときは、正直ほっとし た。次の6月からの第2クールは、Teamsという別のソフトを使用することに なり、せっかく慣れたZoomからまた慣れないTeamsというソフトに鞍替えし た。これもようやく15コマやったくらいで慣れたという始末だ。一番難儀した のは対象の企業への訪問、見学だ。コロナの影響で最後の最後になって会社訪 問が実現し、工場現場の見学も行うことができた。 ・その最中の7月に新居に引っ越した。今まで山ほど引っ越し、移転をやって きたが7月末という酷暑の時期に引っ越すのは初めてだった。数か所から1か 所に生活を集約したので、それまで大量にものを捨ててはいたが、それでもも のが溢れかえって、止む無く近所にトランクルームを借りた。オフィス什器が 大量に余り、知り合いの会社に一部引き取ってもらった。それでも余った什器 は、今回11月末に産業廃棄物として廃棄処分にした。空き家だった北区の実家 は、運よく買い手が現れてとんとん拍子で話しがまとまり、12月初旬に売却が できた。ラッキーだった。これでようやく身軽になり、先祖の墓へ報告の墓参 りに行ったくらいだ。不動産との出会い、売却というものは、本当に縁のもの だと痛感した。 <東京五輪はあるか> ・新型コロナの影響で、ほとんどのイベントが中止になった。2月の京都マラ ソンはぎりぎり開催できたが、3月からの500歳野球の試合は中止になり、4 月からのプロ野球のペナントレースも延期になった。緊急事態宣言が発出され ていたから、本来リスクの少ないテニスコートも閉鎖になった。数か月間、一 切のスポーツイベントが中止、延期になり、スポーツ大好き人間の成岡には、 非常に辛い期間だった。休日に本来あるスポーツ番組がなく、過去の番組の再 放送などで時間を紛らわすことが多かった。幸い、一人で屋外にて行うランニ ングだけは欠かさずやっていた。このおかげで、巣ごもりでもあまりコロナ太 りにはならなかった。少しは太ったと体重計は示しているが、60kgの大台を超 えることはなかった。 ・春の選抜野球、夏の甲子園大会も中止になり、今年はほとんどの主なスポー ツイベントが延期もしくは中止になり、選手も関係者も、観戦者もスポンサー にとっても厳しい1年間だった。この11月くらいになってようやく多くの公式 試合が開催されるようになり、休日のTVスポーツ番組も、やっと見る気になっ ている。改めて、日常多くのスポーツイベントがあったのだなあと感心した。 見ることで多くの感動を得られていたことが、なくなったことで気が付いた。 やはり、スポーツはTVより現場で本物の試合を見ることがいい。いかに迫力が あり臨場感があるかわかる。今年はスポーツの期間が短かった。何か、知らな いうちにあっという間に終わってしまった感がする。特に日本シリーズはそう だった。 ・最大の関心事は、東京五輪、パラ五輪が開催されるのだろうか、というこの 1点だ。成岡の予想は、大方の期待を裏切って開催は中止になると思ってい る。日本が一定程度安全でも、諸外国、とりわけ欧州、米国での感染が止まら ない。欧州のいくつかの国では、外出禁止令が出ている国もある。中止の発表 は、4月に入ってからだろう。3月末の年度末前に発表すると、株価が暴落す る可能性がある。大企業では株価が下がると大きな損になる可能性が高いの で、中止の発表は4月上旬だろう。延期でもなく、中止になる公算が高いと 思っている。この中止によるマイナスの影響は計り知れないが、大半の人は東 京五輪の開催は無理だろうと、半ば諦めているはずだ。ただ、口に出して言う 勇気が持てないのだろう。 <様変わりした年末風景> ・6月から少しずつ以前の状態には戻ったが、またぞろ8月から第二次感染が 始まり、なんとなく暗い状況に戻った。夏から秋にかけてもほとんどのイベン トが中止になった。9月以降もその状態はあまり戻らなかった。プロ野球や サッカーのJリーグの試合も人数制限がかかり、普段では聞こえない試合中の 音がなまなましくTV中継で聞こえたのは、象徴的だった。特に、大相撲の中継 では立ち合いのぶつかる激しい衝撃音がそのままお茶の間に聞こえた。徐々 に、音楽会やライブイベントなども秋には戻りつつあり、京都市内にも修学旅 行の観光バスがちらほら散見されるようになったのは10月くらいだっただろう か。そのあたりからGOTOキャンペーンが始まり、観光地も一息ついた。 ・10月、11月にも連休があり、特に秋の紅葉の観光シーズンには地元京都の嵐 山あたりは大勢の人出で賑わった。我慢していた外出の欲求が一気に爆発した 感があるくらいの久しぶりの人出だった。しかし、誰もがこれは危ないのでは ないだろうかと、危惧した。やはりその反動が来たのだろう、12月になり俄然 ウィルスが猛威を振るい、ご存じの第三次感染の大爆発を迎えることになっ た。GOTOキャンペーンもやり玉にあがり、年末から年始にかけて中止延期に追 い込まれた。東京や大阪などの大都市での感染が止まらず、非常事態宣言に近 い形での外出自粛、宴会自粛が呼びかけられている。今年の年末年始は長く記 憶に残る年になるだろう。初詣もどうしようかと迷っている。 ・忘年会もクリスマス会も何もない。弊社主催の新年会や講演会も中止にし た。最後まで開催にこだわり、体温計も買ったが結局使うことなくお蔵入りに なるだろう。50名以上集まるとなると、いくら距離をとっても、換気をして も、感染するときはするだろう。9月には企画し、会場の予約も行い、開催の アナウンスも行い、すぐに50名以上のご参加連絡をいただいたが、止む無く中 止の決断を迫られた。最近の報道を見ると、5名以上の会食を止めろとか、コ ンパニオンを呼んだことでやり玉にあがり、非常に不自由で暗い年末になっ た。飲食店、居酒屋、ホテル、レストランなどの経営は火の車になっている。 蒸発した需要は二度と戻ってこない。さらに成人式の中止もアナウンスされ、 晴れ着のレンタルや写真屋さんも大打撃だ。 <嘆くより一歩前に出る勇気を> ・この1年を振り返ると、2月くらいからこのコロナショックに振り回され た。人の移動がこれくらい制限を受けたことは記憶にない。4月から6月の緊 急事態宣言の発出中では、新幹線の車両に1人しか乗っていないという事態も あった。新幹線の個人貸し切りという珍事が起こり、乗客だった人は記念写真 を撮影したくらいだ。最近では50%くらいには戻ったと言われているが、交通 関係の仕事に携わっている人にとっては、暗黒時代に突入したように感じられ る。ただ、通勤の地下鉄やバスは結構「密」な状態があるが、意外とそこから 感染が拡大したという報道はほとんどない。横の人と話さず、ひたすらスマホ だけをいじっていると、感染は拡大しないのかもしれない。 ・自社の仕事も大きな波をかぶった。人と会うことを制限されると、案件を進 めることが非常に難しい。4〜6月は従来からのレギュラーの仕事が減って、 突発の案件に対応することのほうが多かった。10月にようやく景気が上向いて きたかと思いきや、12月からの強力な自粛要請に、みんな沈黙して協力してい る。このまま3月末の年度末に向かって解除されることがないと、これは相当 大きな痛手になるだろう。飲食や宿泊関連の業界に直接携わっている人や会社 も多いが、その飲食店や宿泊施設に物品を納品している企業も多い。例えば、 おしぼりのレンタル企業や清掃を請け負う企業などだ。また、食材を納品して いる企業や、資材を使ってもらっている企業などが該当する。意外と裾野は広 い。 ・製造業は一般的に影響が出てくるのは遅いと言われていたが、ここに来て発 注する企業によって大きな差が出ている。発注する企業がどんどん海外展開し ている場合、下請けではあるが受注している企業の業績は悪くない。逆に、海 外の自動車製造業が工場を撤退した影響で、一気に受注が減少した中小企業も ある。悲喜こもごもの事態になっているが、不安はこのコロナショックがいつ まで尾を引くのかが見えてこないことだ。ワクチンの普及もまだ不透明だし、 感染はまだ広がっている。医療崩壊という言葉が真実味を帯びてきた。暗い1 年になったが、嘆いていても始まらない。この悪い状態のときこそ、未来に向 かって一歩出ることが大事だ。気持ちは前向きに切り替えないといけない。