**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第994回配信分2023年05月15日発行 がんの70%予防できる 〜生活習慣病の成人病の予防と同じだ〜 **************************************************** <はじめに> ・連休中の最後の日曜日は、終日雨天。アウトドア派の小生にしては非常にス トレスのたまる最終日だった。デスクでネットサーフィンをしていると、表題 のコラムに目が止まった。「がんの70%は予防できる」。これは意外だった。 がんは細胞の異常な変化が元で起こると思っているので、その異常な変化を予 防できるならこれに勝るものはない。最近でも、野球部の3年後輩が亡くなっ たりしているが、死因ががんかどうかは定かではないが、いまや2人に1人が がんになる可能性がある時代だ。その70%が予防できれば、医療費や薬剤費の 削減に大きく寄与するだろう。興味津々でさっそく読んでみた。結論から言う と、読んでみて非常に失望した。 ・なぜ失望したかというと、至極当たり前で当然のことしか書いていなかった からだ。2007年、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究機構(AICR)とい う世界的に権威ある組織が、それまでに世界各地で行われた研究や大規模調査 の結果を総合的に分析して、「食物、栄養、身体活動とがん予防:世界展望」 という分厚い報告書を発表した。そしてその中で、有効と思われるがん予防法 を10項目提示した。まさに、これからのがん予防の最先端の研究成果と思いき や、意外や意外、そこで指摘されている10項目は非常に当たり前で当然のよう な内容が並んでいる。内容的には、その他の慢性疾患、成人病の予防と、ほぼ 同じだろう。つまり、結論的に言えば「がん」は成人病の一種であり、予防法 も成人病のそれと違わない。 ・10項目とはどういう内容だろうか。(1)肥満を避ける (2)よく身体を 動かす (3)カロリーの多い食品、糖分の多い飲料を避ける (4)植物性 の食品を食べる (5)肉の摂取を控え、加工した肉は食べない (6)アル コールを控える (7)塩分を控え、カビのはえた食品は食べない (8)サ プリメントに頼らない (9)できるだけ母乳で育てる (10)がんになったこ とがある人も、この助言に従う この10項目ががん予防の重要な10項目だという。これを読んで、何か目新しい ことが書いてあるのだろうと期待していたが、肩透かしを食らった気分だ。な んのことはない、普通の成人病予防の生活習慣と同じではないか。何も目新し ことは、どこにもない。 <食生活と喫煙の影響が大きい> ・1996年に旧厚生省の公衆衛生審議会は、生活習慣病を次のように定義した。 「生活習慣病は、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その 発症・進行に関与する疾患群であり、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、ガン、等を 含む」。このように定義された根拠は、相次いで発表されたがんに関する論文 だ。まず、米国人を対象に、がんによる死亡原因を推定した有名な論文があ る。1981年に発表されたこの論文では、それ以前に行われた膨大な調査結果を もとに、がんで死亡した原因として、どの環境要因がどれくらいの割合を占め ているかを分析した。その結果、食生活の改善により予防できたはずのがんが 35%、禁煙していれば防げたものが30%、ウィルスや細菌などの感染によるも のが10%以上、飲酒が3%となっている。遺伝的素因によるものはわずか5% だった。 ・1996年には、米国ハーバード大学のがん予防センターでも同様の研究を行 い、成人してからの食事と肥満が30%、喫煙が同じく30%、運動不足が5%、 飲酒が3%と、個人の生活習慣ががんの原因の68%を占めていた。この研究で も遺伝的な素因は5%だった。どちらの研究も、同じような結果を示している が注意点はこれらの研究が米国で行われたということだ。発表した当事者の研 究者も、原因の割合は人種で異なるだろうと書いている。がんにも多くの種類 があり、米国で発症したがんのうち最も多かったのは肺と気管のがんで、次い で前立腺がん、乳がん、大腸がん、膀胱がん、白血病の仲間の悪性リンパ腫 だった。これらのがんに共通して指摘されるのは、喫煙と脂肪を多く含む食生 活が影響するということだ。 ・肺がんの発症数は日本でも増えており、2016年のがん死亡数予測によると、 男性では第1位、女性では2位になっている。肺がんと喫煙との関係に関する 研究では、日本人は喫煙することで肺がんによる死亡率が、男性では4.8倍、 女性では3.9倍高くなるという結果が出ている。喫煙と肺がんの発症には、明 らかに因果関係がある。ここには人種差が特徴的に表れており、米国人が喫煙 すると肺がんによる死亡率は、男性は22.4倍、女性では11.9倍に跳ね上がる。 米国では、飲酒より喫煙ががんの素因になっているのは、このような人種差も 大きい。米国人の肺がんによる死亡率が喫煙で異常に高くなる原因は十分わ かっていない。一説によると、米国では18歳から喫煙が可能なことと、1日に 吸う本数が多いことが指摘されている。 <たばこは最悪> ・そういえば、最近周囲の友人知人でも、がんに罹患する人が増えたように感 じる。同年代の友人も肺がんになり、放射線、投薬、手術で一命をとりとめ た。親類にも大腸がんの人、胃がんの人、肝臓がんの人もいる。存命者もいれ ば、残念ながら闘病の末亡くなった人もある。ある意味、運命と割り切ればそ れまでだが、70%予防できるとなると、やはり日常生活を注意することが大事 だろうか。先ほどの研究結果を復習すると、まず一番大事なのは食生活か。何 を食べるか、いつ食べるか、どうやって食べるか。この3つが重要な要素だろ う。仕事や私生活の都合もあるが、あまり時間がばらけないように、比較的規 則的に食べることが大事だろう。それと、朝ご飯をきちんととること、晩御飯 を食べた後、さらに追加で食べないことが大事だ。 ・内容的には、これはどんな人も共通だが、野菜をたくさん食べる事。朝、晩 は、自宅で食べられることが多いので、そういう注文をしておけばいいが、昼 ご飯は限りなく野菜がセットになっているランチを選んでいる。むしろ、野菜 を中心に選択していると言っても過言ではない。なので、ラーメンなどは野菜 がセットでないので、ほとんど食べない。日替わり定食でも、野菜がセットに なっている店を極力選択して、食べに行く。メインに付いていない場合は、別 に野菜サラダを注文する。多少コストアップにはなるが、成人病の予防には野 菜中心の食生活がいいのはわかっている。それと野菜を多く摂取すると、便通 が非常にスムースになる。逆に、数日野菜を取る頻度が減ると、すぐに便通に 支障を来す。この因果関係ははっきりしている。 ・喫煙は42歳のときに止めた。止めるまで、数年格闘したが、理由なくは止め られない。このとき、近所で親しいテニス仲間のMさんから、京都のハーフマ ラソンに出場するお誘いがあった。42.195キロの半分の約21キロの距離だか ら、至極簡単に走れると思っていたが、練習を始めてみるとこれが結構厳し い。煙草は1日1箱確実に吸っていたので、呼吸つまり息継ぎが非常に苦し い。かくて、ハーフマラソンの出場のため、きっぱりと煙草を断った。それま で数年、止めたり吸ったりを繰り返していたが、見事にきっぱり止めることが できた。ちょうど、厄年の42歳だった。20歳から吸い出して約20年。肺が真っ 黒だっただろうが、やめて30年。すっかりきれいになっているはずだ。本当に 止めて良かった。 <生活習慣でかなり予防効果> ・運動習慣に関しては、自慢話になるのであまり書かないが、もうこれ以上は 難しいくらい身体は動かして、いじめている。野球、テニス、ロードバイク、 ランニングなど、すべてアウトドア。雨が降るとできる運動がないので、一時 期スポーツジムに入ってみたが、やはり屋外で身体を動かす方がはるかに気分 的にも、コスト的にも、いいことを認識したので、キャンペーン月間で退会し た。移動に地下鉄を使うことが多いので、絶対と言っていいほど、エレベー ターやエスカレーターは使わない。マンションも6階に住んでいるが、なるべ く非常階段を登ったり、降りたりするようにしている。6階は微妙な高さで、 重たい荷物さえなければ頑張れば上ることは、そう苦痛ではない。あとは、最 近では毎朝30分散歩し、朝陽を浴びて、夕方30分ランニングする。 ・できないのはアルコールを控える事。休肝日というのがない。特に、日曜日 の夕方サウナに行ったあとのビールは格別なので、これは止められない。止め たら、逆にストレスで病気になりそうなので、自分で勝手に理屈をつけて飲ん でいる。最近、ホームドクターの勧めで糖質ゼロのビールに切り替えた。途端 に、7.0以上あったHba1cが下がって、親友のかかりつけ医はご満悦だ。アル コールは適量なら、百薬の長だと自分に言い聞かせて、飲んでいる。度が過ぎ ないようには注意しているが、飲んだ分翌日運動して汗をかいて、老廃物と一 緒に外に出るための潤滑油だと思っている。そのための、毎晩のアルコールだ と妙な理屈をつけて、妙に納得している。 ・あと、40歳代で十二指腸潰瘍を患って開腹手術をしていることと、遺伝的に 血糖値が高いので、毎月1回かかりつけ医に行って血液検査を行い、年に1回 検便検査をしている。3年に1回胃カメラをして、体重と血圧、脈拍は毎週自 宅で測って記録をグラフでつけている。体重はほとんどこの10年変わらない。 BMIの値は、22.0と最適値。まあ、これで70%予防できるがん対策は、ほぼ完 璧ではないか。もし、どこかのがんにかかったら、それは残りの30%でなった のだと納得しないといけない。大事なことは、これは正しいと信じて継続する ことだ。1か月や1年するのはできるが、20年、30年継続するのは難しい。本 当にこれが正しいと信じているからこそ、続けることができる。継続も、能力 だ。